THE SOLOIST in NH205 | Ready Steady Go!

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Season Concept
   ~ London Eye ~

昨晩ほとんど眠りにつけなかった状態のままで、明らかに睡眠不足で搭乗した時からまぶたが重く、軽くお酒を飲めばそのまま夢の世界へとなりそうな体調も、いつものことといえばいつものこと。

お酒を頂くが体調不良で美味しくなく、昼食後からそのまま眠りへと、、、、、、

目覚めた時には、おそらく離陸から7時間は過ぎていて、けだるい身体を起こして、機内散歩とストレッチで気分転換を計るが、席に戻ってから否応にも目に入ってくるおとなりのシートのおじいさん、平気で携帯電話のスイッチを入れ、メールらしき?ことを打ち始める。

実はこのご老人、離陸後すぐにクルーのひとにフランスの新聞を頼んで、ルモンドでしょうかと尋ねられると沈黙の後、フィガロを、と一丁前にムッシュ気どり?

何者かは知らないが、容姿からして少し???????ではあった。

その後の様子をリポートさせていただくと、ご高齢だから眠っているのか新聞を読んでいるのか定かでないが、どれだけ時間が進もうがずっと同じところで止まっている。

ページではなく、ずっと1ページの同じ場所に、、、、、、、、

そして途中から分厚い辞書を取り出し何かをしているが、12時間の間、結局最後まで他のページをめくることはなく、新聞を読む?ことは終了。

ヨーロッパ国内を旅する時、まるでいつもカッコをつけてポーズで海外新聞を手に取って機内に持ち込む自分と同じか?と、苦笑してしまう。

とにかく不思議なご老体?だったが、日本のフランスのガイドブックも見ているところを想像すれば、普通のツーリストだと思われるが、態度はまずでボンジュール。

それにしても平気で機内で電波を発信する携帯電話を使おうとすることは、かなりの初心者と察するが危なかしくて仕方ない。

その後クルーのひとに注意を受けて一件落着となったが、こういうことが原因で命だけは落としたくない?

ここからは気分を変えて、毎回搭乗するたびに若手アーティストの作品を紹介している『 ana sky channel / ANA MEETS ARTS SHORT FILM COLLECTION 』のプログラムを見ることを楽しみにしている。

今回はおそらく9月2日の搭乗なので秋のニュープログラムの新しい内容に変わったばかりだと思うが、残念ながら私好みでなかった。

日本の作品はもちろんパス。

他の2本がドイツの作品 The runaway / ランナウエイとアメリカの I Hate Musicals / ミュージカルなんて大嫌いと、どちらの国の文化にもあまり興味がないことから、ここは封印?

ならば全体のプログラムからと選んだ映画は、ブッカー賞イギリス人作家 『 Ian McEwan / イアン・マキューアン』の小説を映画化した『 つぐない 』のイギリス人 Joe Wright / ジョー・ライト監督による『 THE SOLOIST / 路上のソリスト』は、ハリウッド映画ではあるが、あらすじを読めばLAを舞台にしていることと当然だが米語さえ我慢すれば、何とかなりそうな気がした。

ストーリーは、LAタイムズ記者の実体験を映画化したヒューマン・ドラマで、路上でバイオリンを奏でるホ-ムレスの男『 amie Foxx / ジェイミー・フォックス』が演じるナサニエル・エアーズと、彼の素性に興味を抱いたコラムニスト『 Robert Downey Junior/ ロバート・ダウニー・ジュニア』が演じるスティーヴ・ロペスが織りなす交流劇。

いわゆるお涙ちょうだいのメロドラマとは一線を画す格調高い語り口で観る者を深遠な映像世界に誘う。

幼少時代から音楽才能を見いだされ、ジュリアード音楽院で将来を有望されていたが、家庭生活途上で不幸にも心の病 ( 統合失調症 / 幻覚や妄想などの症状を呈し従前の生活能力が失われてしまう病 ) が発症して、無念にもプロの音楽家への志が途絶える。

彼の教師は、本気で取り組んだなら世界がひれ伏す才能だったと、、、、、、、

その後ホームレスとなり路上生活者として過ごしているある日、2弦だけで奏でる姿とバイオリンの音色が新聞記者の目に留まり、そこからふたたび音楽家への道が動き始めるが、彼が抱える精神的な問題とホ-ムレスとして生活している環境からの脱皮は安逸ではない。

難しく複雑な人生模様の中で、彼にプロとしてのチャンスがふたたび与えられる。

新聞のコラムに載った『 弦2本で世界を奏でるヴァイオリン弾き。彼に夢と希望を尋ねた。あと2本の弦が欲しい』と、べートーヴェンをリスペクトするナサニエルのことばに、人は共感し、感動した。

『 人は信じるものがたったひとつあれば、生きていける。』

『 人はみな、孤独なソリスト 奏で続ければ、いつかきっと誰かに届く。』

観終った後、不思議な気持ちとともに自分への戒めと希望の活力となったことはいうまでもない。

cheers