chicken with unlucky gone | Ready Steady Go!

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   ~ London Eye ~

ひとりの時間が長い海外生活中は自分を見つめ直す良い機会でもあるが、ロンドンでは知り合いのイギリス人も多く、日々何かしらの刺激をいただいている。

昨年の6月のあることから約1年が経過した現在、冷静に振り返ればこの1年は1日1日皮が剥けるように、あれほど淀んでいた空気感が嘘のように消えて行っている。

要らぬ我執にしがみつき、必死になって口にする幼稚なチキン根性丸出しのみっともない言い訳を聞かされて来たが、そのどうしようもなかった現実から解放されると、ウソのように情況は好転へと歩み始めた。

*チキンとは英語のスラングで、日本語の「腰抜け」に相当する。チキンの由来は、寒いときや何か恐怖を感じたとき、ヒトの皮膚は体温を維持するために鳥肌がたつ。このときの様態がニワトリの羽根をむしった状態と同様であることや、鳥類が周囲に気を配りキョロキョロしていることなどから、四六時中まわりの目を気にして動向を伺うことで自らの安寧を保とうとする臆病者として表現される。*

残念ながら似たような人間はこの世の中いるわけで、今も完璧とは言えないが、それでもあの頃の驚くほどずば抜けて運の悪るかった人間の悪影響は今は存在しない。

有り難いことに、海外との仕事では異文化ゆえのストレス状態になろうとも、感性が近いレベルの高い充実感を日々少なからず感じている。

昨日会ったデザイナー・イアンは私が思うに、必要以上に欲張らず、それほど見栄も張らず、自分のキャパとモチベーションの中で、人間らしく素直な気持ちを持って自然体で毎日を生きているように感じる。

昨年のリーマンブラザース以降、百年に一度の世界同時不況といわれ、当然我々のファッション業界もその悪影響の中でもがき、苦しむ状態が続いているが、坂道は以前にも増して勾配がきつくなっていても、少なからずチャンスは必ずあると意識して、あえて大手とは違う道を歩む。

不思議なことだが、少し重く感じていたペダルがイアンに会った後は、心なしか軽くなったような気さえしてしまう。

もちろん運だけでは勝ち組にはなれないが、運のいい人のところには運のいい人が集まり、運の悪い人のところには運の悪い人が集まって来る法則が、この世の中存在している。

どれだけ早く若いうちに気がつくかということが大事かということを、この場を借りてお伝えしたい。

私自身がもっと早く気がつけば良かったと、経験からそう感じている。

ひとに嫌われたくない、嫌な思いをしたくないなどの自分にただ都合がいいだけの、ひとの顔色ばかりうかがうタイプ、そして苦しいこと辛いことから逃げ出したいと現実逃避を考え弱音を吐く、逆行に弱いタイプ、経験不足と認識不足が一番の原因であるにも関わらず、己の視野が狭いことにさえ気がつかない幼稚な自己中心的な思考が優先するタイプ、若いということと幼いということとは違う。

教えるということには、体力と気力と忍耐が伴うが、云われる側は得てして己のその時の感情のみを優先しがちである。

厳しさを持って教えることの難しさと大変さはあるが、私はそれを真の優しさだと認識している。

心地いい甘いことばだけが決して優しさではない、この理解力が分岐点で、その認識まで到達出来なければ、当然、苦痛だけがともなうが、運良く気がつけば、そこからは雪解けのごとく春の暖かさが実感出来るようになるはずだ。

ひとから教えてもらえるだけでも有り難いと思えるか、誰からも教えてもらえないひとも世の中にはいる。

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フラットに戻りテラスから見える満月の風景を眺めていると、お得意の黄昏れモード全開です。

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cheers in London