目覚めた翌朝は、抜けるような青空で気温も20度前後と心地よく、このままフラット近くのリージェンツパークへ直行して、溜まった心身の疲れを癒す為に芝生の上で寝っころがっていたいが、公園を横目に見ながらバスで仕事に向かう。
休息を欲する気持ちとは裏腹に、時間が全く足りないほど仕事付けの2日となり、パリ滞在の疲れに更にロンドン滞在が負ぶさり、ブルーな気分で泣きたくなる一歩手前かも?
天気は好いが、どうもロンドンの雰囲気がいつもと違い変?
アメリカと同様、イギリス経済の大黒柱はロンドン・シティの金融業であり、中東オイルマネーを初め、高利回りの金融商品から儲けを得ていたイギリス経済は、驚くほどの不動産価格高騰を起こしていたが、アメリカ金融危機の波が一気に襲いかかり、中堅銀行やアイスランド銀行の破綻が相次ぎ、バブル崩壊は時間の問題のようだ。
イギリス人から聞いたところによると、金融機関が破たんした場合の預金保証額は日本の1000万円に比べ、3万5千ポンド( 最近の為替レートで550万円くらい)と小額で銀行破綻の恐怖から、どの金融機関に預けておくのが安全かで、ここ数日、落ち着かない日々が続いているらしい。
我々のように海外からグッズを輸入している立場で言えば、単純に円高は有り難い事だが、変動金利型のサブプライムローン問題やアメリカ証券大手のリーマン・ブラザースが破綻したことで一気に金融危機に陥り、アメリカ発の不況の波を欧米人はTUNAMI /津波と名付けて呼び、ついに世界同時不況の暗黒の時代が始まったかのようだ。
欧米や日本のような先進国は、すでに経済的に成熟しているため、これ以上の経済成長は多くは望めないのが現実的で欧米中心主義から、中国、インド、ブラジルなどの人口が数億人以上いる途上国を経済発展させる多極主義に移行するはずだったが、世界経済の失速で新興国の成長神話もすでに陰りが見えて初めているようだ。
今回、アメリカではAAA格付けにも関わらず破綻した金融関係は数多くあり、金融格付けがいかに当てにならないかが証明され、信用格付けの信頼が失墜して、自分のことは自分で守るしかない時代がやって来た。
プロの金融関係者であっても、ここまでの世界的な経済・金融危機をだれも予測していた人間がいなかったのかもしれない。
イラク戦争以来、アメリカ主導型の覇権に翻弄されてきたが、ここに来て一気にアリ地獄にハマったかのように失墜し、もがけばもがくほどますます奈落の底に墜落して行っているかのようだ。
永遠に右肩上がりだと言われた神話は見事に裏切られ、ここまで世界不況にしてしまった責任は大きいはず。
2階建てのバスの車窓から見上げたまぶしいくらいの蒼い空が、気分的にはせめてもの救いか。
cheers