THIS IS ENGLAND

私も経験したサッチャー首相の政権下で多大な若者の失業者が街に溢れ、北アイルランド紛争やフォークランド紛争のかなり病んだ状態のイギリス社会は、退廃的でまさにフラストレーションのかたまり。
物価は高く、貧困層にとってはまさに差別と地獄の日々。
私も1980年初めてロンドンに行って3ヶ月滞在した時は、為替は1ポンド=約510円と、とてもまともに生活出来る環境ではなかった記憶があります。
そんな中、イギリスの若者たちはドラッグにおぼれ、やり場のなさをファッションや音楽で政治に対する反発を見事にアピールした時代は今でも、印象強く記憶に残っています。
この映画に出てくるスキン・ヘッズはまさにこの当時のイギリスファッションの象徴であり、すかしていてかなりかっこ良かったものです。
簡単にいうと街にたむろする低所得層の若者たちが中心でけんかとドラッグに溺れる不良たち。
以前もご紹介したが、スキンヘッズのボス/ブライアンがUK・TODAYというブランドを立ち上げ、彼から影響を受けて色んなアイテムを買って、日本に紹介したこともかなり懐かしく感じてしまいます。
最初はかなり強面のブライアンも、現役はすでに卒業していて、かなりおとなしく感じのいい青年でした。
ただし、スキンヘッズのボスでライトウイング思想の彼を怒らすとどうなるのかは定かではありません。
映画の中で、着ているFred Perry ポロ & Benshraman ボタンダウンシャツ、ハーリントンジャケット、MA1,スリムジーンズにブレシーズ/サスペンダー、そして編み上げのドクターマーチンブーツが彼らの定番アイテムで、当然頭はボウズでタゥー&アルミバッジをさりげなく使うこじゃれたスタイルを着こなし、たむろしている連中の中を通るのはかなり勇気がいったものです。
だからこそ、スキンヘッズだけでなく、実力派の若手のデザイナーがお金はないなりに、
個性豊かにこれぞUKファッションという源が誕生して、若者が彼らを神髄してファッション&ミュージック文化が根付いたのです。
ツー・トーンミュージックが流行り、マッドネス、スペシャルズ、ミッドナイトランナーズなどスカとあわせて、スキンが愛した音楽。
そんな時代からかれこれ30年を迎えようとしている今日、あの刺激があったUKファッション/ユニオンジャックは、あまりにおとなし過ぎるというか、これが時代の流れなのかもしれない。
今のFred PerryやBensharmanには、本物のUKファッションノニオイを感じなくなり、タグは同じでも、軽くて希薄に感じてしまう。
せっかくの良き時代の雰囲気が全く感じられないのは私だけかなのか?
この映画の内容はともかく、過去の歴史から吸収すべき物はかなりあるはず。
ブランドものを追い続ける日本人気質に、この映画はそういう意味では警告的な存在といっていいかもしれない。
監督、Shane Meadows/ シェーン・メドウス
イギリスではすでに今夏公開済みで、このポスターはパリで現在公開中のため、街の至る所でみかけます。

Have a nice weekend.