【復習】
(8/7)全成の確率
北条時政(坂東彌十郎)とりく(宮沢りえ)の依頼で、不承不承ながら頼家(金子大地)の呪詛をさせられていた阿野全成(新納慎也)。その呪詛に使っていた木製の人形を鼓判官こと平知康(矢柴俊博)がたまたま見つけたことから一大事になる。
頼家呪詛の嫌疑がかかった全成は捕らえられ、拷問を受ける。
政子(小池栄子)の介入もあって、死罪は免れたものの、全成は常陸に流罪となり、原因をつくった時政は全成に詫びる。
土地の再分配をめぐって頼家と対立した比企能員(佐藤二朗)は全成の配所を訪れ、妻の実衣(宮澤エマ)に災いが降り掛からないようにするため、改めて頼家を呪い殺すよう、全成を唆す。しかし、これは八田知家(市原隼人)の知るところとなる。
このことを知った頼家は激怒して、即座に全成誅殺を命じた。
かくして、頼朝(大泉洋)の異母弟にして義経(菅田将暉)の実兄、悪禅師こと阿野全成は八田知家の手により誅された。享年五十一。
頼家が病に倒れたのは、それから間もなくのことであった。
主人公を持ち上げるには、悪の創造はもっとも効果的な演出の一つだ。
憎んでも憎みきれないほど憎々しければ、それに越したことはない、敵役が滅びた後の、視聴者の溜飲も大いに下がるだろう。
佐藤二朗さんは比企能員をじつに憎々しげに演じている。それはいいんだけれど、彼の、どこかコミカルで憎みきれない一面が時折顔をのぞかせ、どうしても小悪党っぽさがにじみ出てしまう。大悪党にはなりきれない、姑息で人間臭い相貌が頭をもたげてくるのだ。
何十年にもわたって、頼朝を扶助しつづけてきた比企尼(草笛光子)。彼女とともに頼朝を支えつづけた能員。ドラマの中のこととはいえ、こんな汚名の着せ方をしてしまってもいいのだろうかと思わずにはいられない。
(8/14)諦めの悪い男
頼家はまだ病床で臥せっていた。
比企、三浦、そして北条。
乳母同士のあいだで暗闘が始まる。
義時(小栗旬)は怪しい動きを見せる比企能員を牽制する。
そんな折、阿野全成と実衣の子・頼全(小林櫂人)が謀反の廉で源仲章(生田斗真)に殺される。
義時は能員が支える一幡(相澤壮太)への対抗馬として、頼家の弟・千幡(嶺岸煌桜)を担ぎ出す。義時は、全国を東西に二分し、一幡と千幡で分割統治してはどうかと提案する。敢えて能員が受け入れ難い提案をすることで、彼を挑発するのが狙いであった。
比奈(堀田真由)は実家を偵察に訪れ、比企の動きを義時に報告する。
父・義時のダークな一面を見せられた泰時(坂口健太郎)は苦悩する。
義時は父・時政に、天下を取る覚悟はあるかと念を押す。
決意を固めた北条父子は能員を校舎裏、もとい北条館に呼び出し、殺害する。
かくして、坂東のゴッドマザーこと比企尼(草笛光子)が居合わせる中、比企氏は族滅する。
北条ファミリーが勝利の美酒に酔っている時、頼家の病状が回復したとの知らせが北条館に届く。
それにしても、比企尼をここまで長生きさせて、族滅に立ち会わせたのはあんまりじゃないだろうか。まさか、比企の乱に彼女が出てくるとは予想だにしなかった。
ストーリー上の必然性も、そんな歴史的事実もないのだから。
そんな理不尽さを強く感じた回だった。
こうなると、泰時の存在だけが救いという気持ちになってしまう。
これも北条トラップなのか!?
(8/21)災いの種
頼家は生きていた。
病から回復した頼家を持て余す鎌倉の首脳たちは頭を悩ませていた。
義時は、今となっては頼家を殺す以外に北条が生き延びる道はない、といい切る。
なぜ、せつ(山谷花純)や比企能員(佐藤二朗)が姿を見せないのかと問う頼家に時政と時房(瀬戸康史)は、彼らが流行り病で来られないのだと誤魔化す。
一幡殺害を政子に打ち明けた義時は邪魔者は消すだけだと本音を告げる。
政子から真相を聞かされた頼家は慟哭し、政子の慰めをも激しく拒絶する。
一方、京都の後鳥羽上皇(尾上松也)のもとには、頼家が危篤だから千幡を征夷大将軍に任じて欲しいとの鎌倉からの要請が届いていた。上皇は、千幡が京都(朝廷)と鎌倉(幕府)の架け橋となることを期待して、千幡に実朝の名を与える。
千幡が新しい鎌倉殿になることが確実になって機嫌のいい時政とりく。ここで、これからのキーパーソンとなるりくの子どもたちが勢ぞろいする。北条の若きプリンス政範(中川翼)ときく(八木莉可子)の二人。そして、きくの夫(時政・りく夫妻の娘婿)で、源氏の一族でもあり、京都守護職に任じられたばかりの平賀朝雅(山中崇)だ。
機嫌のいいりくは、新しい鎌倉殿の妻は京都から迎えるべきだと気の早いことをいい、そのときには政範を迎えにいかせるという。
その頃、復讐心でいっぱいの頼家は、和田義盛(横田栄司)と仁田忠常(高岸宏行)を呼び出し、時政の誅殺を命じる。義盛はそのことを時政に知らせるが、北条と親しく、頼家への忠誠心も失っていなかった忠常は両者の板挟みとなって苦悩する。
頼家に復讐されることを恐れるりくは、災いの種は断つべきだと主張する。
千幡は元服して、征夷大将軍となることが決定し、朝雅は京都守護として京都に赴くこととなった。
義時の息子・泰時は、一幡を殺害しておらず、いま一幡は善児(梶原善)に匿われていることを父に打ち明ける。義時は一幡を消すよう、善児に命じた。
北条と頼家のあいだで板挟みになって苦しんでいた忠常は自害して果てた。
兄・頼家は伊豆修善寺に追放され、弟・千幡は晴れて元服して、新たな鎌倉殿・実朝となった。
あるとき、頼家の次男・善哉(長尾翼)の前に比企尼が現れ、復讐を囁く。
比企尼にこんな役割をさせるとは……。さすがに意地の悪い展開だ。
序盤は純情な若者として描かれてきた義時だったが、突然ダークに転じた感があり、やや不自然に感じる。さまざまな葛藤に苦しみつつ、次第に暗黒面に堕ちていく姿をもっと丹念に描いて欲しかった、というのが本音。
政子を演じる小池栄子さんの熱演も相変わらず良かったけれど、頼家役の金子大地さんの迫力に満ちた演技が本当に素晴らしかった。
(8/28)修善寺
いよいよ初代執権となった北条時政の政権が発足した。
時政は得意の絶頂にあったが、その強引で露骨なやり方は反感を集めはじめていた。
京都に派遣された、時政とりくの娘婿・平賀朝雅は実朝の嫁を都から迎えたいと、後鳥羽上皇に訴える。実朝を自陣営に取り込みたい上皇は、これを承知する。
一方、修善寺に幽閉された頼家は北条一族に対する恨みを一層募らせ、復讐心を隠そうともしなかった。
義時は、兄・宗時(片岡愛之助)を殺したのが善児だと知るが、素知らぬ顔で頼家暗殺を命じる。善児とトウ(山本千尋)の襲撃を受け、ついに頼家は落命した。
武蔵国の利権を独占したい時政の照準はすでに次なる標的。畠山重忠(中川大志)に向けられていた。
※()内はキャスト。敬称略
■「通称&年齢(数え)」つき配役表(敬称略) 〇義時をめぐる人びと
★江間「小四郎」義時(41):小栗旬
比奈(-):堀田真由 ※義時の正妻(比企氏)
江間「太郎」泰時(21):坂口健太郎
初(-):福地桃子 ※泰時の妻
善児(-):梶原善 ※義時の家来
トウ(-):山本千尋
鶴丸(-):きづき ※泰時の従者
★北条「遠州」時政(66):坂東彌十郎
りく(-):宮沢りえ ※義時の継母(牧の方)
北条政範(15):中川翼 ※義時の異母弟(りくの実子)
きく(-):八木莉可子 ※義時の異母妹(りくの実娘)
平賀朝雅(-):山中崇 ※義時の義弟(妹婿)
北条「五郎」時房(29):瀬戸康史 ※義時の異母弟
実衣(-):宮澤エマ ※義時の実妹(阿波局)
「悪禅師」阿野全成(51):新納慎也
頼全(-):小林櫂人
ちえ(-):福田愛依 異母妹 ※畠山重忠の妻
畠山「次郎」重忠(40):中川大志 ※義時の義弟(妹婿)
○鎌倉殿をめぐる人びと
北条政子(47):小池栄子
千幡(12):嶺岸煌桜 ※後の源実朝
源頼家(22):金子大地
せつ(-):山谷花純 ※能員の娘、後に頼家の側室(若狭局)
一幡(6):相澤壮太
つつじ(-):北香那 ※頼家の正室
善哉(4):長尾翼
〇比企一族
★比企「藤四郎」能員(-):佐藤二朗 ※比企尼の甥、猶子
道(-):堀内敬子 ※能員の妻
比企「三郎」宗朝(-):kaito
比企「弥四郎」時員(-):成田瑛基
安達「弥九郎」景盛(-):新名基浩
ゆう(-):大部恵理子
〇三浦党の人びと
三浦「平六」義村(-):山本耕史
「駿河次郎」泰村(-):● ※義村の次男
★和田「小太郎」義盛(54):横田栄司
〇御家人たち
仁田「四郎」忠常(37):高岸宏行(ティモンディ)
☆足立「右馬允」遠元(-):大野泰広
☆八田「四郎」知家(-):市原隼人
☆大江広元(56):栗原英雄 ※中原親能の弟か?
☆二階堂行政(-):野仲イサオ ※頼朝の從叔父
☆三善康信(64):小林隆 ※頼朝の乳母の甥
小笠原「弥太郎」長経(-)西村成忠
中野「五郎」能成(-):歩夢
○宮廷の人びと
★後鳥羽上皇(21):尾上松也
源仲章(-):生田斗真
土御門天皇(6):●
○その他の人びと
文覚(62):市川猿之助
慈円(46):● ※九条兼実の実弟
運慶(-):相島一之
陳和卿(-):テイ龍進
※()内は比企氏没落時(建仁三年)の年齢03
※「」内は通称等。●印はキャスト未定(または不明)
※★は義時とそのライバル(後半各パートのラスボス)になると思われる人物
※☆は13人の宿老(義時とそのライバルをのぞく)
※登場し(てい)ない人物も含まれています(期待値込)