「はぁ。はぁ。はぁ。」
気がつくと、
鬼の姿はなく、
息を荒げた智の姿。
ねうねうは、
さきほどの猫の姿のままだ。
「智。どうした?
大丈夫。」
跪く智に、
雅が肩をだきながら、尋ねると、
「はは。
ちょっと新年より働きすぎた。
和が足りないんだよ。
あいつのところに連れてってくれれば、
すぐに治る。」
たしかにいつもとは違う呪術と、光。
新年だし、
和や潤がいない中、
かなりの負担を負わせてしまったか。
ばたり。
言うなり気を失う。
「智っ。」
智を抱き上げようとした時、
ふと、
周りがわさわさしているのに雅も気がつく。
へ?
ええ?
「ここはどこだ?」
「俺は、何をしてたんだ?」
「一体、何が?」
きょろきょろしている男たちが、
わさわさ湧いてでている。
や、やば。
こいつらに説明するのもめんどくさい。
ねうねうの方に、
目線で助けを求めても、
猫の姿のまま、
あちらを向いて素知らぬ顔だ。
えーい。ままよ。
「おーい。ここに優太というやつはいないか?
お前の友達の勝利に頼まれて、
この人と、
お前を探しに来たら、
お前たちが気を失って、
ここで倒れているのを見つけたんだ。
勝利のとこに連れて行ってやるから、
俺たちも助けてくれ。」
やぶれかぶれで叫んでみると、
「あ。俺が優太っす。
勝利に頼まれたんですね。
あ。
俺、この人おんぶして連れてきますっ!」
能天気なやつが、
何にも知らずに、
雅の前に現れた。
⭐︎つづく⭐︎