敬頌新禧 〜白河夜船〜 7 | 嵐好き・まるの ブログ

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まるです。

Over50の葉担櫻葉erです。
徒然におはなしを書き、投げ込んであります。
基本は読み手。
色々なブログに顔を出しては、叫ばせていただいております。

どうぞよろしくお願いいたします^ ^


 天神様の道までは、
まだ、
年越しのお詣りで賑やかになっている。

きっと、
これは夜明けまで続くのだろう。

これが終われば、
静かな新年。
新しい年を迎えられるはずだ。



ふわふわと、
歩く和の足取りは、
まるで盗んでくださいとばかり。


こりゃ、
すぐ、釣れるな。
さすが、和だ。




後ろから雅が眺めているが、

しかし、
周りにはもののけや妖の匂いはしない。


こりゃ、
俺たちの仕事じゃないのか?


しかしながら、
俺の勘は、あたる。

ねうねうの方をみると、
ねうねうも声を顰めて、
俺に話しかける。


「多分、掏摸は普通の人間なのよ。
問題は、根付。

和にも、
流星と同じ
龍の根付をつけさせたけど、
その根付が、
何か悪さをして人を操ってる可能性もあるわ。

とにかく、
その掏摸。
こっちで抑えるわよ。」


「はいよ。わかった。」


軽く頷いて、
両の袂に手を突っ込む。


後ろから薮睨みで、
和を睨んでいると、

酔っ払ってるふりをして、
千鳥足で和にぶつかった野郎がいる。


「あいつだ。
行けっ。」



智が櫻井様に指示を下す。



「ちっ。
ばれたか。」

さっきまで千鳥足の若造が
急に走り始めたと思うと
小路を曲がり、
逆の方向に走っていく。

「櫻井様っ。潤っ。頼んだっ!」

声を張り上げながらも、

智はこっちに目配せする。


うん。
わかった。

本星はこっちの男ね。



さっきの若造が走り始めた時に、
ぶつかった男。

こっちの男も、
さっきの若造とおんなじぐらいの
優男。

まぁ、俺の櫻井様には負けるけど、
それでも、
こいつなら江戸中の女が寄ってくる。

それぐらいの
顔面人間国宝だ。



そいつは、
顔色ひとつ変えず、
飄々と逆の方向に歩いてく。


「さ。行くか。」

ねうねうと、目配りすると、
さっと闇に身をくらませた。




⭐︎つづく⭐︎