「収録終わりでーす!
ありがとうございましたぁ。」
の、掛け声の後、
鳴り止まない拍手。
俺は拍手も忘れて、
その喝采の中、
翔ちゃんのとこに駆けていく。
「しょ、あ、違う。
櫻井さん。
すごいっ。すごい。すご〜いっ!」
ぴょんぴょん飛び跳ねて、
櫻井さんのとこで話すと、
櫻井さんの顔がどやる。
「一応な。
最後の問題が、
普通の早押しが出るとは思わなかったからな。
並列問題にかけてたんだよ。」
「やっぱり、すごい。
さすが、大学生クイズ王っ!
クイズの帝王だぁぁ。
俺の尊敬する櫻井さんだぁぁ!」
一生懸命、
翔ちゃんに話しかけてたら。
ぽんっぽん。
肩を軽くたたかれる。
ん?誰?
後ろを向くと、
宇治原さんっ!レギュラーの有名な人っ。
「相葉くん言うたな。
おまえもすごかったで。」
「お、俺ですか?
俺、なんにもしてないっす。」
「いやいや、
あそこで、相葉くんが答えてくれたから、
みんなに火がついて、
面白いバトルができた。
正直、そこの櫻井さんもそうだけど、
俺ら、こういう番組は、
クイズというよりは、
『バラエティ』だと思ってるとこがあるんよ。
でも、
相葉くんや、ほかのサポートメンバーが、
真剣にクイズに取り組んでくれたから、
俺らにもスイッチが入って、
面白い番組になった。
ほら、見てみ。
あそこのディレクターさんなんて、
してやったりの顔だぞ。
これ、
初回から評判いいぞ。」
ふぇ?
そ、そんなの、
俺なんにもしてないのに。
きょとんとする俺に、
「この子はうちのクイズ研究会の、
ホープですから。
これから、もっと鍛えますよ。
覚悟してください。」
翔ちゃんが、
宇治原さんに話すと、
宇治原さんが少し驚く。
「え?そうなの?
だって、
さっきの休憩時間。
松潤に連れてかれて、
話してたじゃん。
そのあと、戻ってくるときは滝沢ディレクターと一緒だったし。
松潤のとこの、0-1の子じゃなかったんだ。」
ぎろ。
翔ちゃんが怖い顔で俺の方を見る。
「宇治原さん。
いいこと教えてくれてありがとうございます。
じゃ、雅紀。
帰ろうか。
特訓だな。今日は。」
翔ちゃんが俺の肩を抱いて、
スタジオから退出しようとするけど、
その俺の肩を握りしめた手は、
ものすごく力が入って痛かった。
⭐︎つづく⭐︎