モノクロ epilogue 上 | 嵐好き・まるの ブログ

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まるです。

Over50の葉担櫻葉erです。
徒然におはなしを書き、投げ込んであります。
基本は読み手。
色々なブログに顔を出しては、叫ばせていただいております。

どうぞよろしくお願いいたします^ ^


ジュレームが桜吹雪とともに、
蒼龍赤虎会の屋敷から、
姿を消した翌日のことである。







 こつ。こつ。こつ。

茶の乗馬用ロングブーツが、
蒼龍赤虎会の正門の前で
無機質な音を立てる。





ロングブーツの男は、
髪の毛は漆黒のオールバック。


白い乗馬用パンツに、
栗皮茶色のロングジャケットを靡かせて
その大きな門の前に立つ。




ピンポン。




門のワイヤレスチャイムを押すと、
インターホンの向こうの山本の声が、
慇懃に響く。




「どちら様でいらっしゃいますか?」




軽く首を傾げると、
ふざけたことを聞くようだと眉を顰めて、
その男は答える。






「私だ。

『貴族は、
名前を名乗るなど、はしたない』と、
教えたのは、
山本ではなかったかな?」




にこやかに話しながら、
目は笑ってはいない。






そんな中。



「あああっ。
若様。若様が帰っていらしたぁぁ。」




ドアチャイムの向こうが、
急に慌ただしく賑やかになった。








 









「シュピ。ただいま。
ごめんね。
留守にした。」



私の声を聞いて、
慌てて駆けつけてきた愛犬シュピーゲルを
撫で回していると、

慌てて、
佐藤が門まで、
車を回してくる。



「貴族様。
大変遅くなりました。


おかえりなさいませ。」



深々と頭を下げる佐藤を見下ろし、

「遅い。
このように貴族を待たせるとは何事だ。
シュピーゲルは
私が帰ってくるのをわかっていたようだぞ。

お前たちは何をやっているんだ。」


叱りつけると、



「は、申し訳ありません。」



佐藤が深々と頭を下げる。



「くふふ。
仕方がない。

私が帰ってくるなど思わなかったのだろう。

佐藤、ほんとはな。

『推理なんていう雑事は、
使用人に任せておく』ものなのだが。

どうも、
私が解かなくてはいけない謎が
この屋敷にあるようだ。


さ、屋敷へ急いでくれ。」



佐藤が運転するロールスロイスに
愛犬シュピーゲルと乗り込むと、
雅紀は足を組んでゆっくりと座席に背をもたれかけさせる。



ここからは。


ジュレームではなく、
相葉雅紀ではなく、
蒼龍赤虎会の『貴族』。



足の上で軽く両手を組んで、
ヘッドレストに頭をもたれかけて上を向くと、
覚悟を決めたように
雅紀は軽く目を瞑った。




⭐︎つづく⭐︎