ハッピーエンドは終わらない 3 | 嵐好き・まるの ブログ

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まるです。

Over50の葉担櫻葉erです。
徒然におはなしを書き、投げ込んであります。
基本は読み手。
色々なブログに顔を出しては、叫ばせていただいております。

どうぞよろしくお願いいたします^ ^

「ショウ王子、マサキ姫。
結婚おめでとう。」


一番奥の方にゆったりと座る女の人が、俺たちに低い声で祝いの言葉を述べる。
この人が王妃様か。
めちゃくちゃいいスタイルにまとわりつくような漆黒の細身のドレスにピンヒール。
めっちゃ綺麗。

だけど、こわい。
めっちゃ俺らにマウント取るように威圧してくる。




「おめでとうっ。」


王妃様の悠然とした言葉に、
被せるように、
早口の言葉が隣の男の人から発せられる。
なんも喋らないとごっつい怖い男の人なのに
しゃべると
まるで不思議の国のアリスのハートの王様みたいだ。
これが王様。
翔ちゃんのお父さんか。






「ありがとうございます。」
翔ちゃんが、胸に手を当てて、
お辞儀をするので、

「ありがとうございます。」
俺もドレスの裾を両手でちょっとつまんでお辞儀っぽいものをしてみせる。

よくわからないけど、
たぶんこんなかんじなような気がする。



そんな俺の可憐なお辞儀など、
ふふん
と鼻で笑って一瞬で抹殺して
王妃様が言葉を放つ。




「マサキ姫。
礼を言うのは早いわ。

私は、あなたを
ショウの妃に認めたわけじゃない。」


ぎらん。

王妃の目が光る。


「母上っ!」


王妃様に詰め寄る翔ちゃん。


おっ。順応の早いね。翔ちゃん。
そうっそう。
俺はあなたの可愛い嫁だからね。



「黙ってなさい。ショウ。

このマサキは、庶民の卑しい家の生まれ。
この王家に受け入れるなどありえないことだわ。」


「ショウ様。
このマサキは、私が見初めた姫でございます。

このマサキの、
心美しく、また陰日向なくよく働くこと、
皆の者が知っております。」



し、し、翔ちゃん???

お、俺。
勉強もしない。
家の手伝いもバイトもしない
ぐうたら高校生だって知ってるじゃん!



「ほほほ。
それなら良かったわ。

じゃあ、マサキ姫。

この箒で、
王宮中掃除しておくのよ。」


ほーほっほっほ。




王妃は、
王様と翔ちゃんを引き連れて去って行く。

翔ちゃんも翔ちゃんで、
俺の方を気にしながらも、
お母さんである王妃のいうことを聞いて、
さっさと出て行ってしまう。


くっそ。

マザコンめ。



大体
シンデレラの話っていうのは、
ハッピーエンドじゃねえのか?


シンデレラとして王子と結ばれたあとに、
王妃である姑のいびりにあうなんて、
幸せになんて暮らしてねぇじゃないか。




「どこが、『めでたし、めでたし』なんだよ。

絶対、めでたくなんかねえしっ!」

と叫びながら、
王宮中を箒で掃くはめに陥るなんて。 





「ほんと、ふっざけんなよな。」


ぶつぶつ言いながら箒で掃く真似をしてると、


「シンデレラ?
シンデレラ?」



なぜか、どこかから、
シンデレラを呼ぶ声がした。





⭐︎つづく⭐︎