Phantom 4 RTK テスト1日目「撃沈」 | 山口大学 空中測量(UAV写真測量)研究室の技術ノート

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今回DJI社から発売されたPhantom 4 RTKは、「RTK-GNSSによって各画像の正確な撮影位置を測れる」という触れ込みの写真測量用ドローンです。

 

公称スペック通りに動けば、標定点の設置個所を大幅に減らすことができると考えられます。

さらに撮影方法を工夫(斜め撮影や低高度撮影を混ぜ込む)すれば、

標定点なしでも誤差数 cm以内の写真測量が出来るかもしれません。

 

従来も、機体の位置をRTK-GNSSで測るドローンはありましたが、驚きの低価格で、しかも撮影の瞬間のカメラ位置を精密に計算してくれるという意味で、Phantom 4 RTKは革新的だと思います。

 

ということで、早速、Phantom 4 RTKのテストを試みました。

しかし、いくつかの問題に直面し、飛行にも至りませんでした

あくまで私の手元にある個体がそうだったというだけかもしれませんし、ユーザーマニュアルの読み込みが足りないだけの項目があるかもしれませんが、ご参考までに報告します。

愚痴っぽくなっているのは、大人何人もが半日を捧げて出来なかった悔しさの現れです。

  1. 送信機のアンテナ(うさぎの耳)があらぬ方向に固定されていて、ドローンと通信するための適切な向きに調整できない。これは本個体の初期不良の可能性あり。
  2. 送信機とドローンのリンクを確立すると、送信機のWiFi接続が勝手にOFFになり、ネットワーク型RTKのサーバーとの接続も切れる。そのためにネットワーク型RTKが使えない。これはSIMカードを使えば回避可能と思われる。ユーザーマニュアルによると、どうやら同じPhantom 4 RTKでも国・地域別にいくつかのバージョンがあって、バージョンによってはWiFi経由ではネットワーク型RTKが使えないらしい。日本語で読めるクイックスタートガイドは、WiFiでも出来るようなニュアンスだったのに・・・。
  3. 送信機とドローンのリンクが、ドローンを起動するたびにリンクボタンを押さないと確立できない。ユーザーマニュアルによると、最初の1回だけでいいはずが・・・。
  4. 送信機に入っているアプリDJI GS RTKに、フォーカスを調整するインターフェースがない。写真測量はマニュアルフォーカスが原則なので、これは厳しい。確かに仕様には「オートフォーカス」と書いてあるが、それは先代の4 Proも同様。4 ProはDJI GS Proで、あべこべながらもマニュアルフォーカスができたのに・・・。
  5. Waypoint Flight(個々の撮影地点で、カメラの向きなどの細かい設定ができる種類の飛行計画)の計画を作ろうとすると、先に離陸せよというエラーメッセージが出て、進めない。ウェイポイントミッションは、精度向上に卓効のある斜め撮影を混ぜ込むために最適なので、これは困る。離陸してから計画しろってどういうこと?
  6. これは不具合ではないが、飛行計画を作れるらしいパソコンソフトPC GS Proが、日本では現在売られていない。飛行計画は、送信機付属の小さなディスプレイ(スマホくらい)のアプリDJI GS RTKで作るしかない。男の人差し指では、経絡秘孔を突ける精度がなければ、思い通りの操作はまず無理。タッチペン必須。

これらの項目については、現在DJI社に問い合わせ中です。ソフトウェアやファームウェアのアップデートで改善する項目については、改善を期待しています。