PhotoScanを極める 16. 教科書的手順 Step 9 | 山口大学 空中測量(UAV写真測量)研究室の技術ノート

山口大学 空中測量(UAV写真測量)研究室の技術ノート

UAV写真測量, ドローン測量, フォトグラメトリ, SfMなどと呼ばれる技術の情報を掲載します。
1. 効率化・高精度化に関する研究速報・マニュアル
2. SfM/MVSソフトAgisoft Metashapeの使い方
などなど。

※「ブログトップ」の注意・免責事項からご覧ください。

【このテーマの記事は、UAV写真測量に必要な解析や、そのためのAgisoft PhotoScanの操作について解説しつつ、適切な設定の探し方を提案することを目的とします。注意事項や用語説明もありますので、最初のページから読んでください。教科書的な操作手順表はこちらのページにあります。】

 

Step 9では、Step 8で設置したマーカーのうち、GCP(標定点)または検証用地点として使うためのマーカーに、実測座標(現地測量した世界座標)を入力する。

 

ここでは世界座標として、メートル単位の局所的な直交座標系を使うことを想定している。そうでない場合は、ペインの上部の「設定」ボタンで開く「座標設定」ダイアログで、座標系を選択しておく必要がある。

 

 

世界座標を手入力する場合、「座標データ」ペインで、各マーカーの行の「X (m)」「Y (m)」「Z (m)」列のそれぞれについて、空白のセルをダブルクリックしてカーソルを表示させ、X, Y, Z座標を入力していく。ペイン上部の「インポート」ボタンから、マーカーの座標をインポートすることも可能だが、ここでは触れない。

 

 

今回は、17点のマーカーのうち13点について、座標が既知である状況を想定した。うち10点はGCPとして使うためチェックボックスに☑を入れ、残りの3点(point 4, point 12, point 17)は検証用地点として使うためチェックを外した。検証用地点が少なくなってしまったのはご愛嬌としてお許しいただきたい。また、上のスクリーンショットでは非常に小さな桁まで座標を入力しているが、これは今回のCGでは精密な格子点の座標が求まってしまうためなので、気にしないでいただきたい。

 

なお、「精度 (m)」列には、そのマーカーの座標について想定する現地測量のRMS誤差を入力しておく。これは、「座標設定」ダイアログで「マーカー精度 (m)」欄に入力することで、一括で設定することもできる。この情報は、後で「カメラを最適化」を行う際の、入力した座標の、重みに影響する。

 

ユーザーマニュアルでは、対象領域に最低10点はGCPを設けるべきだと述べているが、この数字はまあ仕方なく目安を述べていると受け取るべきで、実際に必要なGCPの数は、状況次第でいくらでも変わるだろう。対象領域の規模・性質や撮影計画、現地測量の精度、GCPの用途(ジオリファレンスのためだけに使うのか、カメラパラメータの最適化にも使うのか)にも依存する。例えばカメラパラメータの最適化に使う場合、ドーム状変形を生じやすい撮影計画であったり、複雑なカメラモデルを使っているならば、より多くのGCPが必要であると考えられる。