未だに、まだ僕は独りでは何も成し遂げてない。
毎日、本当はこうするはずだったんだって、半分はふて腐れて、半分は負けてたまるかと呪文のように言いながら、弱い自分を憎んでる。
なぜ、弱ってるのか、なぜ、決めつけるのか。
本当は…本当は。
負けるか…アホか。
と、僕は届きはしない声で、母を思う。
もっと楽をさせてあげたかった。
もっと楽しい想いをさせてあげたかった。
ハワイにもう一度、旅行に行かせてあげたかった。
吉本新喜劇を、漫才を、天童よしみを、綾小路きみまろを…。
僕はいつも言う、後悔はないと、いま出来る事は全てやったと。
つまり、限界だと…情けない言葉を言えず、きれいにまとめてる訳だ。
情けない男だ。
誰かにすがりたいと思うくせに、やはりそれも出来ない。
それは俺は男だから。
いや、俺は都合が良いだけだから。
甘えたら、俺は負ける。
かぁちゃんに電話してたら、知らない間に、俺は、オカンではなく、オカンにお母さんと、呼び掛けてた。
何十年もその呼び方はしてない。
そして、お母さんと繰り返す度に、涙が溢れて、変な声にならない様に、俺は努めて明るい声を出した。
父に支えて貰ってなくては、電話すら持てなくなった母に、僕は、俺なぁ…日本一になったんや…って言ったら、かすれた声で、すごいなぁ…すごいなぁ…ってかぁちゃんが俺を誉めた。
会社が日本一になっただけだけど、しかも説話社さんと一緒にやったことだけど。
そう言ってしまった。
電話を切って、泣くもんかと俺は最近買い換えた、冷蔵庫を開けて、何もとらないでまた閉じた。
このまま消えても構わないなんて、そんな事はもっと強くなってから言えよ。
サンボマスターの歌詞が浮かんだ。
余計に悔しくなった。
けど、断じて俺は泣いてないし負けてない。
もっと、もっと時間があれば、薬以外の物も、欲しいものも、何でも買ってあげれたのに。
守ること…出来んのかな…。
自分の人生で、捨ててしまったもの。
もう拾い直したいなんて思わないから、色々諦めて構わないから、たった一年前で構わないから、時間を戻してはくれないか。
かぁちゃん…。
育ててくれてありがとうな。
もっと強くなってみせるからな。
あんたの息子が日本一になったんやで。