自分は母親に甘えさせて貰った記憶は一度しかない。
幼稚園のときに、ハンカチを同級生に奪われて、焼却炉に入れられた、自宅に帰って、悔しくて、母に涙を見せた。
かあちゃんは、僕の頭をなでた。
親父は、弱い僕を殴った。
かぁちゃんはそれ以降、僕を甘やかすことは無かった。
しかし、それは母が厳しいからとか、キツイ性格だからと言うわけではない。
病気だったからだ。
僕は幼稚園の頃から、一人で何でもするようにせざるを得なかった。
お好み焼きの焼き方を覚えたのも、米の炊き方を知ったのも、誰かの見よう見まねだった。
母の出来ない部分を、近所の人が支えてくれたから何とかやってこれた。
それは母の人徳だと思う。
もの心がついた頃から母は病院と自宅を行き来してのだから。
僕が甘える事が出来なかったのは当然のことだと思う。
中学になって母親の体調が落ち着いて、それからしばらく穏やかな日々が続いた。
わずか10年も無い、かぁちゃんの体調が穏やかだった日々だった。
大学に行ってから、かぁちゃんが再び病気になった。
病名は癌だった。
家系的には癌ではないので、恐らくストレスから来たものだと思う。
しかし幸い早期発見ですんだ。
僕が上京して、すぐに、病気が再発した。
それから母は病気と闘い続けている。
僕の背中には常に母が居た。
甘えることなんて出来る訳が無い。
絶対負けるか!
自宅で意味無く叫ぶ事があった。
金が全てじゃない。けど金が欲しい!
そう願う事があった。
今の僕があるの母のお陰。
それだけは言える。
かぁちゃんの事を書こうと思ったけど、これ以上は止めた。