何の味もしなかった。
砂を噛むような、喉に蓋でもできたかのような。
唯一、味噌汁だけ欲しかった。
みるみるうちに痩せた。
すぐに、42キロの体重が、35キロを切った。
何度も点滴をした。
何度も。
それでも、食べる行為が、できない。
食べても、吐いてしまう。
細い体には、吐くという事は、全身の力を使ってしまい、
とても、苦しんだ。
余計に食べるのを、拒むようになった。
水分は、薬の副作用もあり、
多くて4リットルは飲んだと思う。
喉が渇いて、渇いて、仕方なかった。
その水分は、冷や汗に変わり、ベッドを濡らしていた。
痙攣したかのように、布団の中で小刻みに震える。
体力もなかった。
その汗も、幻覚で、蟻に見えた。
「虫が湧いて出てくる」
また、泣いた。
体中の毛穴から、黒い虫がどんどん湧いて出てくる。
半狂乱だった。
虫を洗い流さなきゃ。
お風呂で、ゴシゴシ洗う。
でも、それも、とても疲れる。
お風呂さえ、嫌になってきていた。
20代の女の子が、汗臭いまま、布団にうずくまる。
「虫が・・・」
疲れ果てた。