今日生産管理でとある面白い病院経営の手法についてケーススタディをしました。
カナダにあるこの病院、軽度で簡単な手術ですむヘルニア患者のみを扱っており、病院というよりはカントリークラブのような美しい施設で熟練した専門医による手術と2-3日の入院期間を提供してます。
ターゲット層は軽度ヘルニア患者でほとんどの顧客が40歳以上の白人男性。
Value Proposition(業種内での企業としての価値)は圧倒的なサービスの質の高さ。
これをどうやって実現しているかというと、特定のターゲットマーケットのみに重点を置いた、徹底してシンプルな運営スタイルに秘密があるようです。
手術内容は全て同じなので、総合病院のように様々な専門医を雇う必要もないし、ナースによる患者の食事管理や投薬管理なども必要なし。
さらには美しい施設で自発的なリハビリが要求されるのでトレーナーも特にいないし、患者の半分以上が外国からの患者なので郵送での質問要綱と手術前日の二十分の診察以外に待ち時間無し。
患者の収入の高さ、サービスの質、医師団の平均以上の魅力的な給与にも関わらず、なんとこの病院、3日の入院手術込みで約20万円と、他の病院の平均価格50万円を圧倒的に下回るコストパフォーマンスを提供しています。
なぜこんなことが可能なのでしょうか?
それは一重に、やはりターゲットマーケットの明確さ、特定さにあると思われます。
同種類の患者を同じプロセスでしか扱わないから無駄が生じない。
また、患者にとっては自分の症状が求めている通りの究極のサービスをローコストで得られるというメリットがあります。
生産管理の分野から言えば、生産ラインのバリエーションは効率を下げコストをあげます。
なので、消費パターンの多様化が進むここ数年の市場傾向は正直生産管理から言えば厳しいところ。
だから逆にバリエーションの無いこの病院の手術は一点に集中した効率の良いサービスを提供できるのですね。
つまり多種多様な患者のいる総合病院にとってこの運営パターンは不可能とのこと。
また、一種類の患者のみを扱うこの病院は、その他大勢の患者の治療を拒否するという倫理的な問題も背景には含んでいます。
でもさ、思うんだけど、複雑な病気や特別なケアを必要とする患者さんの場合は、やはり「総合力」の高い総合病院である必要があるけれど、そうでない患者さんはこの「超・専門病院」をもっと利用するべきだと思う。
だって同じサービスを必要としている患者さんが効率よく集まれば、総合病院のベッドの回転は良くなるし、緊急の患者がたらいまわしにされることもなくなると思うんだけどなぁー・・・どうですかね?
あとこのケースのもうひとつの大事な側面は、大規模=必ずしも高利益ではないということ。
消費パターンが多様化する現代だからこそ、大規模な生産、大規模なマーケティングによって大規模な消費を期待するよりは、もっと小規模なマーケットでもいいから、一点のマーケットに集中した効率の良い生産パターンが求められてるのではないでしょうか?
逆に、マーケットと企業価値を特定できずに利益を落とした会社がスターバックス。
会社が一気に成長した1990年代とは違い、いまやスターバックスを利用する消費層は様々な幅に広がっています。
(ここで言うスターバックスは、アメリカのスターバックス)
今までのように、ゆったりとした雰囲気、高品質で徹底したカスタマーサービスだけに集中するわけにはいかなくなってきました。
かといって、思いっきりマクドナルドなどのファーストフードのように回転率をただ上げれば、スターバックス本来の「上流な社交場やプライベート空間」というコーヒー以外のサービス価値がなくなってしまいます。
マーケティング(顧客満足)をとるか、オペレーション(運営の効率化)をとるか、今スターバックスは岐路に立たされているのだとか。
うーん・・・経営って中々奥が深いな・・・っ!