高村薫のデビュー作「黄金を抱いて飛べ」が映画化された。
本屋の店頭で予告を見かけ、なかなか面白そうなクライムミステリーのように思えたのだが、蓋を開けてみると、ちょっと期待外れだった。
大阪を舞台に6人の男達が集まりある銀行の地下金庫に眠る金塊を強奪するという話で、劇中の台詞でも出てくるが「ミニミニ大作戦」とよく似ている。
だが、あちらと違い本作はひたすら暗い雰囲気が漂っている。
大阪が舞台でしかも関西人の井筒監督なのにもかかわらず大阪らしさがあまり出ておらず(なじみの場所はいっぱいでてきたが)、原作通りとはいえ登場人物のほとんどが関西弁をしゃべらず、舞台は別にどこでもいいという感じだった(原作者は大阪が舞台でないと考えられないと言っているが)。
妻○木聡はいつもの泣きそうなかぼそい声でまったくの迫力不足。
とても裏の世界で生きてきた人間には見えない。
ブッキーは人物像がよく見えないにもかかわらずなぜか小さい頃のある事件が何度もフラッシュバックする。
一見なんの関係もなさそうだが、これが後で大いに関係してくるという前振りなのだ。
だが、はっきり言って不要なエピソードでしかなく、あまりにも偶然に頼りすぎたもので種を明かされても「ふ~ん。そういうこと」という感じでとても感情移入できない。
しかもブッキー、それを知ってオロオロなくばかり
とても一緒には付き合えなかった
(;ロ;)
スリリングな部分もあり、面白くなりかけた所もあったのだが、何度も言うが悲壮感が漂っていたのはいただけない。
なんでもかんでもステロタイプなジャンル映画のスタイルに嵌め込む必要はないと思うが、こういう奇想天外な悪だくみをするピカレスクものはやはり明るい方がよい。
前述の「ミニミニ大作戦」や「オーシャンズ11」日本映画なら、「大誘拐」のようにコミカルな部分とサスペンスをほどよく融合し、登場人物のキャラクターの面白さが際立つ映画にしてほしかった。