よ。カニだ。
前回の続きだ。
今日は、呪いについて橘にインタビューしようと思う。
念を押しておくが、これはあくまで橘の個人的な見解だ。
呪いは、解明されていない部分が多い。
よくわからんが、呪ったら効いた。
1000年以上前から、人類はこの状態である。
それを踏まえて、読んでいただければ幸い。
橘的に、インタビューは長いので動画にしたかったらしい。
しかし、技術がないため通常モードでいく!
長くてスマン🦀
インタビュアー:カニ
ゲスト :橘
ー橘に呪いは、どんな風に視えた?
「そうですねぇ。何万人もの幽霊や魔物が次から次へとなだれ込んでくるように見えました。」
「祓っても祓っても、どこからか亡者が湧いて出てくる...そんな感じです。」
ー呪いは全部、そう視えるのだろうか。
「いえ。私が分かる範囲では、呪者の信仰や霊能の性質、呪具や方法によって視え方は違うようです。」
「以前、呪いをかけられた方の顔がボールペンでグリグリ潰されているように視えたこともありました。」
ーボールペン...。特別な道具がなくても、呪いはかけられる?
「極論をいえば、できると思います。」
「ただ、呪いをかける=自身が魔に近づくことです。」
「そして、呪いはかけるより、解く方が難しい。呪いの強さによっては、対処しきれず被る方もいるほどです。」
「呪いを解く専門の祈祷師もいると聞きました。それほど専門性と技術が問われるのでしょうね。」
ー呪いを解く方法として、呪い返しがあると聞いたことがあるが...効果はあるのだろうか?
「効果はあります。」
「ただ、個人的な呪い返しのイメージをお伝えすると...」
「だんだん膨らんでいく水風船を想像してください。呪者が水風船を呪う人に投げます。呪われた人は、それを呪者に返す...だんだん膨らむ水風船のラリーです。想像できますか?」
ーバラエティ番組でやる、アレだな。
「そうです。この水風船が呪いだとします。このままラリーを続けたらどうなります?」
ー風船が破裂し、返せなくなった方が水をかぶる。
「それと同じです。呪われ、呪いを返す...この呪い返しのラリーは、返せなくなった方に全部被ってきます。例え、それが呪者自身だとしても避けられません。」
ーつまり、自分でかけた呪いを自分がかぶることもあるということか?
「それも、かけた当初の何千倍、何万倍もの威力になって...です。」
ー理不尽な。呪った側にも事情はあるだろうに…。
「カニさん。呪いはそもそも理不尽なものです。そして、強烈な負のエネルギーです。人間ごときがコントロールできるわけない。必ずしっぺ返しがきます。」
「呪いは法律で裁けません。」
「今回私が死んだとしても、彼らは法で裁かれることなく生きていきます。」
「でも、呪いを受けて死んだり、植物状態になったり、精神錯乱を起こして精神科に通院せざる終えなくなる...こういうケースは本当にあります。」
「事情があれば、人への殺傷が許されますか?」
「そんな理屈、私は絶対に認めません。」
「法で裁かれずとも、私も神様もわかっています。」
「彼らはすでに、殺人未遂とその片棒を担いだ人です。」
―呪者と依頼人はどうなったのだろうか。
「人を呪わば穴二つ。神様曰はく、すでにお二人それぞれに呪いは返り始めているそうです。今後は、彼らがかけた分だけ、時間をかけて呪いは返り続けていくのでしょうね。」
「もしかしたら、一生かもしれません。かなり強烈でしたし、2人とも祓う力はないようでしたので。」
「呪者もその依頼人も、今回の一件で「こんな自分を変えたい!」と言っていました。」
「でも、自分たちに返ってきた呪いは、彼らの足を引っ張ってより深い魔界に引きずり落とし続けます。」
「必然、彼らが変わるのは困難です。変わる可能性はありますよ?ただ、自力ではかなり難しいと思います。」
「今度こそ変われるかもしれないれない!→やっぱり無理だった...この繰り返しではないでしょうか。それこそ生き地獄ですね。」
「変わることができないまま、魔物もどきの人間として地獄ゾーンを生きる可能性が高いのではないか…個人的にはそう思います。」
橘は呪者と依頼人、それぞれの生霊と話をしたようだ。
二人の実名や活動(仕事)なども分かっているらしい。
素性をネットで公開されるか…
二度と呪いに手を出さないか…
2択の結果、二人は再犯しないと誓ったらしいが…。
「橘。この二人は、変われると思うか?」
呪いを放つ人間。
呪いを依頼する人間。
その発想はすでに、人間としての道徳心や良心を欠いている。
彼らはすでに、魔物もどきなのではないか…。
自分が魔物になっている自覚がないだけではないのか…。
「呪いは卑劣です。そんな卑劣な心根を、彼らが自力で変えられるとは思えません。」
「特に、依頼人の方。私への腹いせで依頼したようですが…。」
「意見があるなら生身で来なさい。呪いの片棒を担ぎ、魂を汚さずとも、徹底的にあなたの恨み言を聞いて差し上げます。」
「悩みに助けが必要ならば、連絡してください。神様が、そこから抜け出すためのサポートをしてくださるそうです。」
私の願いは、魔に落ちる人がいなくなること。
会話もなく呪ったり呪われたり...そんなの、寂しいじゃないですか。
最後に橘がつぶやいた言葉が、カニは印象深かった