こんにちは。
直接雇用歴10年・派遣社員歴20年のロウです。
前回は「派遣の三者関係」をテーマに、
派遣先企業社員の思惑ー世間のイメージを信じて、派遣の仕組みを知らない現実
というお話をしました。
今回は派遣会社の営業担当にフォーカスします。
派遣社員として働いていると、営業担当との会話で
「企業様がどうしてもって言っていて…」
「企業様に、要望は伝えていますので、とりあえず続けてみてください!」
こんな言葉に「ん?」と感じた経験はありませんか?
現場の営業担当はいつも笑顔ですが、
その裏には「自分の数字」と「クライアント対応」の板挟みがあります。
今回は、派遣会社と営業担当の”リアルな優先順位”を、
現場目線で深堀りしていきます。
派遣営業は”三者の間”で常に板挟み
派遣の仕組みはシンプルですが、
その中でいちばん感情に振り回されているのが、
実は「派遣会社の営業担当」です。
営業担当は、つねに次の三者へ気を配っています。
- 派遣先企業(クライアント)
- 派遣社員
- 派遣会社(自社)
立場はまるで、権限の少ない中間管理職。
そして、コントロールできる範囲はとても限られています。
現場で起きているリアルなプレッシャー
営業担当の現実は数字です。
- 派遣先からの契約件数(売上)
- 派遣社員の稼働率
- 更新率
- トラブル件数
これらすべてが査定・昇給・ボーナスに直結しています。
だからこそ、
・派遣社員が「更新しません」と言う
→そのまま営業の数字が落ちる
・派遣先との関係が悪くなる
→契約自体がなくなるリスク
営業担当のリアルはシンプルです。
更新されるほど、自分が守られる。
更新されないほど、自分が危うくなる。
だからこそ、
「”長期就業前提”でお話ししていましたよね?」
「派遣先も続けてほしいと言っています!」
と、強めに引き止めることもあります。
これは、
「派遣社員のため」ではなく、
自分の数字と派遣先との信頼を維持するため
という側面が大きいのです。
派遣営業は「クライアント優先」
営業担当の立場では、派遣社員よりも”クライアント”のほうが優先されやすいのが現実です。
クライアントからの信頼を失う=契約そのものがなくなる可能性
があるからです。
たとえば、
派遣社員から「業務が事前に説明されていた内容と違う」と指摘が入る
などのトラブルが発生すると、
営業はすぐに「クライアントを守る」側に回ります。
それが、派遣社員から見ると、
「表向きは寄り添ってサポートしますと謳っているのに、
結局は、派遣先の味方ばかりしている」
と感じる瞬間です。
派遣社員へのフォローは「営業の人間力」で変わる
営業担当にもいろいろいます。
- 数字最優先でしわ寄せはすべて派遣社員へ押し付ける人
- 数字、クライアントを優先にしたいから適度に派遣社員に圧力をかける人
- 人として誠実に寄り添う人
- 三者の間で苦しんで消耗する人
ただ、組織の中で働く以上、最終判断は「数字」「契約」「クライアント対応」になります。
つまり、営業担当にとっては、派遣社員よりも「契約」と「売上」が優先される構造があるのです。
派遣社員が知っておくべきポイント
たとえば、
営業担当が言う
「派遣先もあなたを評価していますよ」
という言葉の裏には、
「数字のために、更新をしてほしい」
という営業側の都合も含まれています。
営業担当は敵ではありません。
でも、「味方」と思うのも危険です。
なぜなら、全員が悪意を持っているわけではありませんが、
営業担当の言葉は”ビジネスの言葉”であることを忘れないでください。
派遣社員が感情的にならず、
”契約の立場で判断する”ことが、最終的に自分を守ります。
まとめ
派遣会社の営業担当は、
- クライアント
- 自社
- 派遣社員
この三者の”間”で働いています。
その中で、
優先順位は多くの場合、
「数字」→「クライアント」→「派遣社員」
の順になりがちです。
でも、それは、営業が悪いわけではなく、
仕組みそのものがそう設計されているから。
だからこそ、派遣社員自身が
「営業の言葉を鵜呑みにしない」
「契約上の立場を理解しておく」
この2つを知っておくだけで、心がかなりラクになります。