こんにちは。
直接雇用歴10年・派遣社員歴20年のロウです。
派遣という働き方について、リアルな視点で発信しています。
今回のテーマは
📘「職場見学って、実質”面接”じゃない?の話」です。
はじめに
「職場見学って、実質”面接”じゃない?」
そう感じたこと、ありませんか?
案件エントリー後、
「社内選考通過しましたので、職場見学の日程のご連絡です」
と、当然のように言われることがあります。
でも実はー
派遣先が派遣社員を面接したり選考することは、法律で禁止されています。
1.派遣法で禁止されている「事前面接」とは
派遣法では、派遣先企業と派遣社員との間に雇用関係がないため、
派遣先が採用面接や選考を行うことはできません。
厚生労働省のガイドラインでも、次のような行為が禁止されています。
- 派遣先が派遣社員と面接し採否を決定する
- 履歴書・職務経歴書の提出を求める
- 年齢・性別・筆記試験・適正検査などで選別する
これらは「特定行為」と呼ばれ
労働者派遣法第26条第6項で次のように定められています。
労働者派遣の役務の提供を受けようとする者は、労働者派遣契約の締結に際し、派遣労働者を特定 することを目的とする行為(特定目的行為)をしないように努めなければならない
(労働者派遣の役務の提供を受けようとする者=派遣先)
罰則(懲役や罰金)はありませんが、
都道府県労働局からの行政指導の対象となることがあります。
2.派遣法の建前と、現場のリアル
法律上は「選考禁止」ですが、
実際の現場ではこんな流れが一般的です。
「社内選考が通りました。職場見学を来週で調整しますね」
こちらが「職場を見学しなくてもいいです」と言っても
「企業様が希望しています」
というケースが多いです。
形式上は「職場見学」でも、
実態は派遣先による面接のようになっています。
職場見学の最後に、派遣先担当者から
「他の派遣会社にもお願いしているので、全員見てから決めます」
といった言葉を、派遣社員本人に直接伝えるケースもあります。
つまり、派遣先が「どの派遣会社の誰を選ぶか」を判断しており、
”選考行為”にあたります。
本来、同席している派遣会社営業担当が
「職場見学は選考ではありません。競合禁止です」
と説明すべき立場ですが、
現実的には黙認されているケースが大半です
3.本来の「職場見学」とは
本来の職場見学は、
派遣社員が自分で就業を判断するための確認行為です。
派遣社員が、派遣元から打診された仕事を受けるか否かを判断するため、
自らの判断の下に就業開始前に職場を訪問し、就業場所や業務内容などを確認すること。
つまりー
- 派遣先が派遣社員を選ぶ場ではない
- 派遣社員が「自分に合うか」を確認するための場
- 評価や採点を受けるものではない
さらに、受入人数が1名の案件で複数名が職場見学することもNGです。
それは「選考目的」とみなされる可能性が高いためです。
4.派遣社員としての心構え
現実的には、「職場見学なしでは話が進まない」ことも多いです。
だからこそ、法律を理解したうえで、自分を守る意識を持つことが大切。
たとえば:
- 派遣会社のホームページ「企業向けページ」で”特定行為”の説明を確認しておく(検索ワード:特定行為 派遣会社名)
- 職場見学では「自分に合うか」を見極める視点を持つ
5.まとめ
- 派遣先が派遣社員を面接・選考することは派遣法違反
- しかし、現場では”職場見学=面接”が当たり前になっている
- 派遣社員として、知識持つことが最大の防御
- 職場見学は「選ばれる場」ではなく、「自分が選ぶ場」
ロウの一言
法律を知っているだけで、見える景色が変わります。
派遣社員は”弱い立場”ではなく、”知っている立場”になれる。
職場見学の場でも、
「面接ではなく確認」と心の中で整理しておくだけで、
受け身にならず、冷静に対応できます。