同じことを何度も何度も繰り返し行っていると、
やがて何も考えなくてもできるようになる。
いったん自転車に乗れるようになると、
何も考えなくても自転車に乗れる、
これはよく出る例である。
こういうのを「体で覚える」というのだが、
実際には小脳が自転車に乗る方法を記憶していて、
その情報を瞬時に出してきて体を動かしている
のだそうである。
小脳の働きは、大脳の働きとどのように違うの
だろうか、私は大変興味を持ったので調べてみた。
大脳は、目から入った情報や、脳に蓄えられている
情報など、ありとあらゆる情報を取捨選択・比較して
(これを考える又は有意識という)、身体のどこを
どう動かすか決めて身体に指令を出す。
考えるのにもそれなりの時間がかかる上、
導きだされた結論には失敗したら恥ずかしいなどの
雑念が入り込んでくるので、最終的に体が思った
ようにスムースに動かないということが
しばしば起こるのである。
これに対して小脳は、同じことを何度も何度も
繰り返し行っていると、本来大脳が記憶している
べきものを、小脳の方でもコピーし、記憶・保持する
ようになる。
したがって、大脳を通過することなく、直接小脳に
アクセスできたときは、小脳に記憶されてている
情報の中から最適の答えを、瞬時に導き出すことが
できるので、何も考えずに、すなわち無意識に
体をスムースに動かすことができるのである。
ところで、人間が無意識の内に、まっすぐ立って
いられるのも、小脳がそれを記憶し、制御している
からだそうであると知った。
小脳に一言お礼を云いたい。
ゴルフのような運動の場合には、大脳に働きかける
よりも小脳に働きかけた方がいい結果が出ると、
NHKためしてガッテンで紹介された。
私の場合、ゴルフスイングを始める前、あるいは
スイング中も、常にいろいろなことを思い巡ぐらせ
てしまう。
それらは、目前の不安から来るもので、体の部分を
どのように動かせばいいか、というものである。
・前回ここでOBを叩いた。OBしたくない。
・前のホールがトリだった。挽回しなくちゃ。
・引っかけが出る。なんとかしないと。
・FWがうまく当たらない。また失敗するかも。
・上体を左に突っ込む。頭を動かすな。下を止めよ。
・ダウンでシャフトを立てて下ろしてこい。
・右腕の内旋、フェースターンを忘れるな。
・前下がりのライ、苦手だなあ。
まだまだ不安要因はいくらでもある。
不安から起因するこれらの思いは、すべて大脳に
いったん転送される。
大脳では、それらを1つ1つ超高速処理し、
最適の判断を導きだそうとするが、私のような
高齢者の場合、超高速処理といえ、それなりの
時間がかかる上、大脳から送り返される指令には
邪念も一緒に送られる。
邪念混じりの指令によってスイング(運動)を
制御しようとするため、結果的に体の動きがに
ぶくなってしまい、ミスにつながる。
あれこれ考え過ぎるのは決してよくない、
考えるなら1つにしなさいと自分に言い聞かせて
いるのだけれど、実際にスイングとなると、
よくないと知りつつも、考えてしまうのである。
そこで注目を浴びるのが小脳の活用である。
ゴルフスイングを大脳ではなく、小脳によって
制御させることができれば、邪念がなくなる分、
何も考えることなく、無意識に身体を動かすこと
ができるので、結果的に飛距離が伸び、方向性も
よくなるというのである。
小脳に直接働きかける引き金は、「音を出す」
すなわち「大声を出すこと」であり、大声で
発せられた音は、大脳を通過することなく、
音専用のルートを介して直接小脳に伝わる。
NHKためしてガッテンでは、飛距離に悩む
シニアゴルファーに、バックスイングでは息を
吐きながら「スーッ」と声を出し、ダウンスイング
からインパクトでは「ガァァァ」と発声するよう
指導したら、無音の時より飛距離が全員20ヤード
伸びたと紹介した。
余計な力が抜けることで無駄なく力が伝わり、
スイングスピードが上がったためというのが、
専門家の解説であった。
音ならばどんな音でもいいかというと、
そうではないらしい。
「スーッ」は力が抜け体を素早くスムースに動かし、
「ガァァ」は力を一気に出して解放するのに効果が
あるので、ゴルフスイングの場合にはこれがいい。
自分の声のリズムで、自分の小脳を刺激できる
コツをつかめば、とくに大きな声を出さなくても
効果が出ると云っている人もいた。
ちなみに、「チャーシューメン」と発声したときは、
無声のときより逆に飛距離が落ちたそうである。
ここ数日、私もバックスイングでは息を吐きながら
「スーッ」と声を出し、ダウンスイングからインパクト
では「ガァァァ」と大声を出すようにしたら、
飛距離は伸びるし、方向性もよく、いいことずくめ
であった。
邪念が吹っ飛び、無心状態でリズムよく体が動いて
くれた。これは明らかに小脳の活用効果であった。
ただし、ここで気をつけなければいけないのは、
普段から正しいスイングをよく理解し、それを
繰り返しやっていることが前提条件である。
そうでないと、小脳が働いて導きだされてくる
スイングは正しくないものになってしまう。
例えば、テイクバックをインサイドに大きく引いて、
その反動でアウトサイドインの軌道のスイングを
何度も繰り返しやっていると、「スーッ」と
「ガァァァ」をやっても、カット打ちのスライス
打球から脱却することにできない。
であるから、練習場では、まず正しいスイングを
しっかり理解した上で、「スーッ」「ガァァァ」と
声を出し、小脳の力を最大限に活用できるよう
心がけたい。
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