はれるやはいつの笹焼彩子 1 | 愛と平和の弾薬庫

愛と平和の弾薬庫

心に弾丸を。腹の底に地雷原を。
目には笑みを。
刺激より愛を。
平穏より平和を。
音源⇨ https://eggs.mu/artist/roughblue

我らが住み暮らすはれるやはいつの大家は元看護師である。

とかいうとじゃあばばあの大家なんだね、と多くの人はのたまう。

まあ、半分あたっている。女ではあるがばばあというほど老けてはいないのである。

その名を笹焼彩子という彼女は50とも60とも噂されるが、実年齢は46才である。

その笹焼彩子、名に反してその声はいつもでかい。

「すーさーん!」

ある朝、そんな声で目覚めさせられたくらいである。

目覚めて出勤の支度をして外へ出たら、また、

「すーさん、おはよう!いってらっしゃい!」

鈴木さんとか澄子さんとか、そんな名称の人物がそばにいるんだろう、

そう思い、声のほうをば見やれば、声の主とばっちり目があった。

「おはようございます」

とりあえずそう言った。

そしてわたしはいずれ知るに至る。

彼女にとってはすべての店子、5名がすべてすーさんなのである。

なしてや、とわれ彼女に問う。したらのたまうではないか。

「だってさ、あれよ、いつもそう呼んでたらさ、みなさんに一斉に用がある時、一言ですむっしょ」

ああ、と俺は思った。なるほどね。

 

つづく、か?