ベスト・アルバムってのはぜんぜんベストなんかじゃない、としか
荒木ガメラには思えなかった。
Greatest Hitsなんか絶対買っちゃだめだ。
そんなのを買うなんて、ラジオから流れてくるその人の歌を聴いてるのと
おなじだから。
一枚のアルバムにはそれを作ったときのアーチストのすべてが詰まっている。
その表現がアーチスト本人に正直に密着してればしてるほど、
そいつはベストに近くなる。
そこには血の流れがあって、感情の微妙な揺れがある。
一枚のアルバムに収まったそんな流れや揺れが、
その一枚をきれいにまとめていく。
だからそれは切り離しちゃだめだ。ましてや売り物にするなんて。
だからRough Blueにはベストアルバムというやつは置いてない。
みたいな話をなにげにしたら、しかし結城さん(Rough Blueのマスター)は、
「Day TripperやEight Days A Weekみたいにシングルしか出てなかったのを
収めたBeatlesの『赤』みたいのは別だろ」
と言った。
いくらBook Offで100円で売ってたって、DoorsのGreatest Hitsになんか
手を出しちゃダメだ!
と荒木ガメラは歌ってしまいたいぐらいの日々。