わからなくても、いいかな――「小児外科医・吉岡秀人」 | 愛と平和の弾薬庫

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目には笑みを。
刺激より愛を。
平穏より平和を。
音源⇨ https://eggs.mu/artist/roughblue

「情熱大陸」を見た。


小児外科医・吉岡秀人はミャンマーで、現地の子供たちを治療している。

平均月収3000円の土地で治療費など取れない。無償で手術をする。

しょっちゅう停電するから全身麻酔などできない。

睡眠薬と局所麻酔だけだから、手術のタイムリミットは2時間。

そのあいだにできる方法で手術をする。


生まれてすぐの火傷(やけど)で足がわけのわからない状態にひっついたままの子。

(これは大人だったが)首(あごの下)に2キロの重さの腫瘍を50年間くっつけたままのおじさん。

(あ、これも大人だ。)卵巣に9キロの腫瘍を抱え込んだままの女性。

頭蓋骨に穴が開いていて(世界水準では百万人に一人、ミャンマーでは五千人に一人あらわれるそうだ)、

脳が漏れてきて、顔の中心が腫れたようになっている子供。

耳の後ろの腫瘍に引っ張られて顔の左半分が伸びきった状態になっている子供。


頭蓋骨に3センチの穴が開いている子供は岡山の病院に頼んで手術をしてもらい、

(脳外科、形成外科、小児科、麻酔科が合同で14時間。無償)、成功した。

その手術内容をみて、ミャンマー(後にカンボジア)ではどうしたらいいかを吉岡氏は学び、

現地で同じ種類の手術を、2時間で成功させる。


見ていて、わけがわからなかった。

胸がどんどん熱くなって、涙があふれた。

でもそれがなぜなのか、どこから来る涙なのかが、さっぱりわからない。


病巣を抱えた子供たちやおじさん、女性の姿の衝撃。

無償、持ち出しで現地に居続ける吉岡氏の魂の気高さ。

醜い姿の自分の子供を、そっくりそのまま愛している母親。

そして、愛されていることを疑っていない子供たち。


感動ともショックとも見極められない胸の震えが、画面から伝わってくる、

衝撃、魂、愛、そんな所から来てるんだろうとは思ったが、断定できない。

どれも、違うような気がする。


世界とか、

喜びとか、

そんな、もっと大きなものが、



わからない。