大音量でR&Rが流され、駐車場のような広場の何千人とも知れぬ人たちが声を張り上げている。
人々は広場から溢れて路上に行列を作っている。テレビからわかる状況はそんなところだ。
その様子をレポートしているテレビ局の青年は、「30分歩いてやっと行列の最後尾に辿りつきました」。
42,000人、集まったらしい。
訃報直後の5月3日はニュースはまったく見なかったけれど、4日以降はどうしても目に入ってきた。
たまたま見た番組がよかったのか、John Lennonの時のようなお仕事お仕事的扱いのものがなかった。
北野たけしさんが、
「大学ノートの裏表紙のさなえちゃんがどうのって歌なかったけ?」と言ったのに苦笑したぐらいだった。
うつみみどりが、「芸能人で彼を悪く言う人は一人もいなかった」と言っていたが、
報道全体にそんな空気が満ちていたような気がした。
Aoyama Rock'n'Roll Show!に集まった人たちの中には、俺と同年代らしき人たちがいっぱいいた。
あの人にしっかりお別れを言えましたか?
俺はダメだなあ。もし東京に住んでたとしても青山には近づけもしなかったろうなあ。
ラジオのコンサート情報を耳にするたびに思っちまう。
「O月O日ゼップ仙台!忌野清志郎&Nice Middle with Blue Day Horns Live!」とか、
もうそういう告知は聞けねーんだなあ、って。
聞けねーんだ。
そしてあの、心の底から無邪気になれる空間に浸りきることは、もうできないんだ。
暖かさや、やさしさや、懐かしさの中でしか、あの人に触れられなくなっちまったのか?
やだな、そんなのは。