2008年9月26日、さようなら | 愛と平和の弾薬庫

愛と平和の弾薬庫

心に弾丸を。腹の底に地雷原を。
目には笑みを。
刺激より愛を。
平穏より平和を。
音源⇨ https://eggs.mu/artist/roughblue

初めてその人の姿に触れたのは「スティング」においてだったと思う。

今調べたらその映画に出た時にはすでに、その人は48才だったらしい。

役者の世界に入るのがかなり遅かったようだ。


その後、名画座で「明日に向かって撃て」を見た。

「明日に向かって撃て」と「スティング」、どちらもロバート・レッドフォードとの共演ではあったけれど、

レッドフォードがどちらも若さに任せて先走る、というような若干似たような性格設定だったの対して、

どちらの映画でも渋さを売りにはするものの、

「明日に向かって撃て」では無骨さと落ち着きを併せ持ったおっさん、

「スティング」では知的さを備えたおっさん、としっかり演じ分け、

レッドフォードとの格の違いを印象づけた彼は、

1959年生まれの少年にとって最初で最後の「銀幕の大スター第一号」となったのだった。

(デニーロもパチーノも大好きだけど、「銀幕の……」と言うよりは、名優の域を出ないのは時代のせいだろう)


その後、少年が青年に、そしておっさんになるにつれ、世の中にはレンタルビデオなどというものが浸透し、

青年やおっさんは「ハスラー」や「長く暑い夜」で、その人の若い日々の姿に触れ、ぶっ飛んだ。


かっくいいぃぃぃ~~。


体じゅうから若さの、骨太な躍動感のオーラを発散しまくるその人は大スターそのものだった。


そして「評決」、「ハスラー2」。

老境の渋さ、賢明さを併せ持つ自信と確信に満ちた男をひたすら演じていた。


そんな彼が、最後にしっかりと両足で着地したところ、

それが「ノーバディーズ・フール」という映画だった。

(映画の中の彼は足に古傷を持つ男で、中々しっかり着地できてなかったけれど)


「Nobody’s Fool」


この映画の魅力は見た人だけがわかっていればいい。

見ていない人には一言たりとも説明したくない。

その人の魅力がぎっしり、隙間なくつまった映画だから。


Newman1

Newman2

1025.1.26-2008.9.26、享年83。