「もう人と同じような、
大きな幹線道路を行くようなコースでは競争したってしょうがない、
だから何か、
自分だけの生き方をしなくちゃならないだろうと思ってたのよね。
何か特殊な生き方じゃなきゃいかんと思ってね。
それでスリになろうと思ったりね。
三ヶ月ぐらい一生懸命電車の中で一人で練習したりしてね。
財布のありかなんていうのは、
秋葉原神田あたりを中心にして行ったり来たりしてると
10人に4人ぐらいはわかるのね。
ところが手が出ないの。
睨みつけててね、人の財布を。
それでも手が出ないんだから、やっぱり才能がないと思ってね」
聞き手(高樹澪)「生活のためにスリになろうというのではなくて、何かの……」
「何か自分流の生き方をしないと生きようがないと思ってたのね」