あせった。
いや別にあせることはないのだ、俺には何の関わりもないのだ、と自分に言い聞かせるのだが、消滅の現実を目の前にして、俺は何かあせらずにはいられなかった。
なくなっていたのだ。黒い車も。
一台目の白いオデッセイが姿を消したのはここに置かれたままの状態になってからちょうど一年、ということで納得できる部分があった。それで役所が「一年たったなあ」とか言いつつ、じゃあ動かしていいべえとなったのだと。
しかし黒い車のほうはまだ半年ほどである。
こんな立て続けにきれいに無くなると、何か我が身に降りかかってくるのではないかと突如不安になる。
……あの野郎が余計なことインターネットにのせたから、けっ、動かさなくちゃならなくなったんだ。あの野郎がインターネットにのせたりしたりさえしなければ、ちっ!いっそのこともうめんどくせぇ、あの野郎……と陰湿にねちっこく迫りくる影を俺は感じずにはいられない。
しかしまあ、川辺がさっぱりしたのは何よりだ。とってもさっぱりした。眺めもよくなった。めでたしめでたし。そう思うに留めておくのがやっぱり妥当だ。絶対、妥当なのだ。
と言うことで、今日は寒い。
がしかし、
こっちも、
俺がシャッターを切ると、
暗躍する何かをかすかに感じつつ、寝た子を起こして回る俺なのだった。