「杜の都・タクシードライバー哀話~規制緩和がもたらした残酷」--制作・東日本放送 | 愛と平和の弾薬庫

愛と平和の弾薬庫

心に弾丸を。腹の底に地雷原を。
目には笑みを。
刺激より愛を。
平穏より平和を。
音源⇨ https://eggs.mu/artist/roughblue

6日深夜(7日午前一時台)、全国ネットのテレビで、最悪の状態にある仙台のタクシー事情をレポートする番組をやっていた。仙台のタクシーが今、市民の交通生活に多大な迷惑をかけつつ重大な悲鳴をあげているという内容だったんだが、ひどかった。制作側のタクシー運転手に対する悪意さえ感じられた。だいたいにして出てくる運転手出てくる運転手が、稼げないのをまるでエバってるようなクソおやじやら、まともな営業活動やってないのが見え見えなのに悲しそうな顔だけしてる甘々なおっさんやら、どれもこれも状況がどうの言う以前の問題でしょ、みたいなのばっかりで、これじゃあなた、


「こんな人たちがまともな稼ぎを得られないのはしょうがないんじゃないでしょうか?」


と言いたいかのよう。国交省やら警察やらの人々の証言やら対策案やらも挿入されるものの、国の政策が悪いのだ!と言いたげなわけでもなく、警察はもうこうなったら徹底的に取り締まるべきだ!と言いたいような感じでもない。ちょっと入れてみました。告発番組っぽいでしょ、って感じなだけ。タイトルからしてこう(↑)だし、月の手取り今や10万前後となってしまったタクシー運転手に同情している気配が全体を覆ってはいるものの、そして「この人たちをどうにかしてやってよ」みたいなテーマに沿って作っているらしいとは思われるんだが、取材ネタがひど過ぎてそれも達成されておらず、


「同情すんなら金をくれ!」


とでも言いたくなるような出来上がり。なのだがしかし……

あとから考え直してみたところで、制作に携わった人たち、一人ひとりの本音が見えた。


「稼げない稼げない言う前に他の手段も考えたら?」


異議なし。


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とか何とか思ったままに書いてはみたものの、取材不足のテーマの絞込み不足&突っ込み不足の、早い話が下手くそな仕事以外の何ものでもない。どんな人たちの問題を取り上げるのか、そのあたりことをしっかり考えぬいた上で作り始めれば絶対あんな番組にはならなかったはずだ。

しかしそれもこれもモロ渦中の当事者だから言えること。と考えると非常に不安と言うか、怖くなってくる。世の中のドキュメンタリーなんて当事者から見れば大概がこんなものなのか。

まあ、ある問題をまったく知らない人に知らしめる、提示してみせる、その程度のものなんだろう、テレビのドキュメンタリーなんて。そうか。そうなんだよな。


しかしタクシーの運転手さんもある意味、幸福もんには違いない、と思う。過酷な状況で低賃金で働かされているのはタクシーに限った話じゃないからね。看護士の労働環境(性格破綻した医師たち、いつ病気をもらっても不思議じゃない環境等)、極低賃金、過重肉体労働、なんていうのも相当なもんですよ。印刷業もいつ体を壊してもおかしくない。

それに比べたらバブルの時代にはボンボン家を建てたりできてたタクシーの運転手なんてのは、信じられないぐらい落ち込んで慌ててるに過ぎない。業界的に壁を乗り越えられないだけ。写植みたいに滅亡を強いられてるわけでもないし……(これは愚痴です)。