小学生時代から巨人ファンだった。
長島だ王だ高田だ土井だ柳田だ末次だ堀内だ金田だ言いつつ小学生時代を送ったのである。
中学生になると麻丘めぐみやら木ノ内みどりやらが入り口となってビートルズというドアを押し開けディープ・パープルなどに心惹かれT・レックスやらラズベリーズやらバッドフィンガーという「東芝ヒットパレード(タイトルはちょっと定かではないが、とにかく東芝がリリースしている洋楽のみでヒットチャートを組んでいた、かなり無茶な番組)」の世界のとりことなりレッド・ツェッペリンやボブ・ディランなどを知るのがずいぶん後回しになったが、とにもかくにもどうにか70年代ロックというものにどっぷりつかる青春となり、その流れのまま高校生になるとそこに待っていたのはウェスト・コーストの大きな波、イーグルス、ドゥービー・ブラザース、ジャクソン・ブラウンなどにほのぼの心奪われながらもほぼ同時にやってきたサザン・ロック・ブーム、中でもオールマン・ブラザース・バンドにはのけぞったね。そしてジャパンなんてのが突然変異的にロック界に現れるとそこに追い討ちをかけたのはドアーズという過去のバンドとの出会い。これは高校生活におおいに支障をきたした。勉学なんてものはそっちのけとなったが、なんとかかんとか大学には入ったりしたのだが、そこに訪れたのがパンクスたち=セックス・ピストルズ、クラッシュ、ジャム、ダムド。のちにきたアフターパンクとでも言えばよいのか、重々しいサウンドで我が心を蹂躙したスージー&ザ・バンシーズ、バウハウス等を聴くにいたりついにギター購入……。
プロ野球に興味を見出しなおしたのはそして30台に入ってからだった。
もちろん興味の対象は巨人――篠塚だ斎藤だ川相だ言い始めた。
そんな感じだから35年間巨人ファンだったとは言いにくいが、やはり他の球団に興味を見出せなかったのだから巨人ファンには違いなかった。そして再び野球を見始めてから15年間はしっかり巨人ファンをやっていた。
それがころっと去年変節した。楽天イーグルスが発生したからだ。
地元に球団ができたのだからそれを応援する。
これは自然な心の動きだ。
だいたいにしてナベツネがオーナーになってからの巨人は、巨人軍というよりはもうしっかり「読売」ジャイアンツで、さらに言えば「ナベツネジャイアンツ」で、なんかなあだったし、そんなチームのファンをやめられることに清々しささえ感じたものだ。
ああ、よかった、これでちゃんとしたプロ野球ファンになれた、って感じ。
がしかし……いいの?と思うこともあるのである。
俺って何?と。
なんか、踊らされてるんじゃねえの?と。
つまり、
小さい頃は、いつもテレビで試合をやってる球団に夢中になった。
去年からは、いつも地元ラジオで中継をやっている球団に心を奪われた。
これって……。
そして尚かつ我ながら恐ろしいのは、巨人戦のテレビ中継に1%の興味も抱けなくなったことだ。
あれだけ夢中になってその勝ち負けに一喜一憂していたのに、どんだけ勝とうが嬉しくもなんともないのである。
ひとつには我が家のアイドル、モンチこと仁志敏久が(原に嫌われて)ほとんど試合に出ていないということもあるが、たぶん彼が試合に出ていても俺は巨人戦など見たいと思わないだろう。
それぐらい、巨人への思いが俺の中から消えうせてしまった。
薄情以外の何ものでもない。
大げさだろうか。
しかしまあ、そんなことを今さら悩んでも仕方がないのである。
俺はすっかり楽天イーグルスのファンなのである。
楽天がんばれ!
野村監督、しっかり創ってくんなはれ!
カツノリ、パスボールしてんじゃねえ!
藤井君、少しは素直になりなさい!(このままじゃカツノリなんぞにレギュラー取られっちまうぞい!)
福盛、たまに出た時ぐらいきっちり抑えてくれ!
と、いうことで。