聞き飽きた声 | 愛と平和の弾薬庫

愛と平和の弾薬庫

心に弾丸を。腹の底に地雷原を。
目には笑みを。
刺激より愛を。
平穏より平和を。
音源⇨ https://eggs.mu/artist/roughblue

 何だかずいぶんとサボってしまってちょっと前のことになるんだが、3月4日(土)、サテンドールに「日本語のフォークとロック」を見に行った。

 あみだくじで決めたという順番でまず出てきたのは、佐々木ショーイチ

 オープニングに登場なんて珍しいね、と思いつつ聞きなれた声に耳を傾ければ一曲目はニールヤングの「孤独の旅路~Heart of Gold」。本家本元によくぞここまで近づけたな、のハープがよかった。そのあとはいつも通りオリジナルとカバーを半々という構成だったのだが、ほぼ半年ぶりにこんなふうにライブを見ながらつくずく感じたことがあった。――聞き慣れたというよりはもうほとんど聞き飽きてるんだなあ。言葉は悪いがこれが率直なところなのである。

 続いて二番目に出てきたのはいつもは「風ズ」としてショーイチと一緒にステージに上がっているTom。ショーイチよりオリジナルが多い構成だったが、こうしてまじまじと一人のステージを耳にするのはほとんど初めてといってよく、そこからまず感じたのはやはり「勢い」。言葉が意外に多く、まくし立てるように歌いきる。う~ん、やっぱりショーイチとはかなり個性が違うんだなあ。若いなあ。ショーイチは落ち着いてるんだなあ、案外。などと思う。

 三番目に出てきたロスアラモスさんは思いっきり重く始まったのだが、二曲目からは昭和歌謡のオンパレード。それをわざと歪ませたギターでバックアップ。なんかこういうのって懐かしい。まるでかつて自分がやっていたことを思い出させられた。

 四番目、高田渡で始まった青木君はスリーフィンガーでとことこと爪弾く。27才だというが、こういう歌に真面目に取り組んでる人っているんだなあと、その姿を目の当たりにしてつくづくそう思う。いろんな人がいる。

 五番目、大トリで登場はサテンドールのマスター、岡崎さん。初めて聞くその声は狼の遠吠えを連想させる。ほぼハッピーエンドで構成されているようだ。貫禄に脱帽。

 と、久々に出かけて聞かされた音はどれも個性たっぷりのものであった。それぞれの演奏者の顔が実に生々しく迫ってきて、まるで「単騎、千里を走る。」的出会いの感動型ライブ。ライブは人だね、本当に。

 そんな様々な表情の音に紛れ込んでいた「聞き飽きた声」の印象は、すべての出演者の歌を聞いた後では何か違うものに変わっていた。――二十年近く聞き続けてきた声にはやはり、それ相応の重さが備わっているなあ……てなところ。