しっかり雪国である。秋田や新潟まで出かけなくとも、ベランダから外を眺むれば、一面の雪国なのである。私はウォーキングへ出る。
伴侶がおれば、「ポチはご苦労さんだねえ」と言うところだ。振っても照っても、そして積もってもどうしても散歩に出ねばならぬワンこうどもに我が姿を重ね合わせ、そんな言葉を発するのである。「いやいや、それほどでも」と俺は言う。
歩き出すと俺はきっと、「鉄道員(ぽっぽや)」の高倉健の姿を我が歩行する姿に重ね合わせるのである。もちろん特に意味はない。ただ雪があり、男がそこにいるからだ。男と雪、それだけでぽっぽやなのである。
腹の底から、いや、胸の奥からニコチンの匂いが湧き上がってくる。久しぶりにしっかりと禁煙に取り組み六日目なのだ。吸わないと、内側から出てくる空気をしっかり感じられるのだ。内からくるこの匂いはどれだけのあいだ続くのだろう。今回はしっかりその時を実感せねばならぬ。
今回の口車は、「(ここで吸ったら)一生後悔するぞ!」である。この言葉に自らを乗せ、ころころと転がし、三ヶ月は頑張りたいものだ。