古臭い監督の手で「新しい色のチーム」を! | 愛と平和の弾薬庫

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刺激より愛を。
平穏より平和を。
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 ほとんど一軍経験のない選手たちは、試合のこなし方がわかっていなかった。

 リストラをどうにか免れてベンチに座っているベテランたちは、心のどこかにグラウンドに立つことだけで満足している部分があったに違いない。

 そんな選手たちを率いる監督がこれまた統率者として経験のない人だった。……一軍のバッターたちを前にしてどんな勝負をすればいいのか戸惑っているピッチャーやキャッチャーに確たる指示を与え切れない。プロ野球でしょ?なんでここでスクイズなの?と思った次の瞬間には本塁憤死。送りバントは嫌い(ラジオの解説者が呆れかえっていた――「一点をこつこつ取りに行くべきチームなのに……」)。エースをあたふたとマウンドからおろし、将来のエースを手元に置かず簡単に二軍に落とす。ベテランはチームの智恵袋だという考えもなく、一個のちょっと強い駒ぐらいの認識しかない。……頭の中、そしてそこから引っ張りだしてやることなすこと、すべからく未熟だった。

 しかしそれら全部ひっくるめて、今年できた新しい色合いを帯びたチームを、楽天ファンは「すくすく育ってくれ!」と見つめていたのだった。そのうち田尾さんもわかってくるだろうと思いつつ、そしていつの日かきっと「オドゲデネー打線」が!との想いを秘めつつ。

 すべて終った。球団は田尾安志に「たたき台」だけ作らせて新たな再出発に踏み切った。――と言うか、去年は声さえかけられなかった人物に一年のあいだにやっと根回しができたんだろう。田尾監督については「とりあえず一年目は『やってくれそうな人』に頼むしかなかったんだ」というのが正直な所に違いない。

 仙台での署名活動やさとう宗幸の声、そしてほうぼうでの野球解説者の「あの解任はおかしい!」という発言は、きっと田尾安志を慰めるだろう。田尾イーグルスファンの「一年ありがとう」はそういう形で彼に届くだろう。

 屈辱を覚悟して「一年目」を引き受け、一人で泥を被ってくれた田尾安志をイーグルスファンは忘れない。


 ……と、監督解任についてはそんなところで決着しよう。チームについてとやかくいいたがる評論家ヅラしたファンのひとりとして。


 しかし溜飲が下がったのは野村克也氏が「清原なんぞいらん」と言ってくれたことだ。一説には「三木谷が清原を欲しがったから田尾監督とぶつかった」なんて言われてるからね。全権委託の強みであくまで突っぱねて欲しい。

 新庄のような明るい人畜無害ならいい。しかし「番長」清原は重過ぎる。彼がベンチに座っているだけでチームの色さえ決まってしまいそうだ。今年のイーグルスをずっと見てきた――「新しい色合いのプロ野球チーム」を応援してきた人間としてはちょっと困る。やめてほしい。山崎あたりとキャラかぶるし。大砲はやはり新生チームにふさわしい目新しい人物であってほしい。個人的には中村ノリもちょっと……妙な色を発しそうな気がするので。

 きっと俺に限らず今年一年田尾イーグルスを支持してきたファンは、「なんか、このチームってちょっと新しい色合い?」ってな感触のイーグルスをこそ応援してきたに違いないのだ。百戦錬磨の古強者であり、かつて「野村再生工場」なる言葉まで発生させた野村克也氏になら、選手一人ひとりを見つめた、「新しい色合いのチーム」作りが可能だと思う。安直に人気者を連れてきたがるオーナーの目論見など蹴散らして、「このメンツだからこそできた」と言えるようなチーム作りを目指して欲しい。