ずっと俺の中では音楽の価値観が分裂している。
その境い目にいるのがジョン・レノン。
俺の中ではいつも、ジョンと付き合うとき二人の俺がいるのだ。
ひとり目が、
「ジョンこそが天才。ジョンだけがパーフェクト」
と言う俺。
これに対してもうひとりの俺はこう言う。
「ジョン・レノンなんて煮ても焼いても食えやしない」
ほとんどの時、前者の俺が俺である。
しかし時としてのっそりと後者の俺が立ち上がるのだ。
そしてドアーズを聞きまくり、イギー・ポップを引っ張り出し、ダムドをウォークマンに突っ込み、部屋を閉め切ってラモーンズを大音響で鳴らす。
Give Peace A Chance! と大声で言いたい俺と、
Rock! Rock! Rock! Rock! とわめき散らしたい俺。
しかし俺自身は切り裂かれたりしない。
これが俺のバランスだとわかっている。
だから何だというわけでもなく。