いいお仕事をなさって、そうして、誰にも知られず、貧乏で、つつましく暮して行く事ほど、楽しいものはありません。
心の中で、遠い大きいプライドを持って、こっそり生きていたいと思います。
(太宰治「きりぎりす」より)
ひさしぶりに太宰治を読んだ。戻っていくかのように心にしっくりきた。愚かしいぐらい正直な男(もしくは女)がそこに書かれているからだろう。太宰治って人はなんて正直な人なんだろう、と読めるように書いてあるからだろう。ふんだんに装飾されつくしているのに、読んだ感じがさらっとしているからだろう。
自分のいやらしさを暴露しているから、いやらしくない。やらしいやっちゃ、と笑わしてくれる。脳みそに筋肉がない。
俺の文章は肩に力はいりっ放し、脳みそがアスレチックしてるようだ。