《ケガをしなかった理由について》

私は1300ccのハッチバックのコンパクトカーに乗っています。

車両重量は700㎏台、大型車に突っ込まれれば、ひとたまりもありません。

そこで安全対策として、先頭車として信号待ちする事になった場合、後続車が止まるかどうか確認するということを習慣にしました。

先頭で止まると、バックミラーで後続車が減速を始めるのを確認する。

確認できたら、普段の視線に戻す。

大型車以外の車が後続車の場合は、減速確認まではしません。

全ての車種を確認していたのでは、精神衛生上好ましくありません。
心配も、程ほどが肝心です。

そしてついに、「その日」がやって来ます。

先頭車として信号待ちの状態になり、いつものようにバックミラーで確認していたら、減速すべき距離まで近づいているのに、トラックがそのままのスピードで突進して来ます。

恐怖を感じて、左側に上体をひねり振り向きました。

ノーブレーキの車は、既に至近距離、追突を回避する術はありません。

とっさに上体を丸め、両手を頭の横に持ってゆき、衝突のタイミングに合わせ、全身に力を込めようとする直前に、大きな音と共に衝突が起こりました。

えっ?ちょっと早い!

産廃の専用車は、バンパーがボディーの前方に20~30㎝飛び出している仕様でした。

予期せぬ早い衝突でしたが、遅れながらも全身に力を込めダメージを最小限に止める行動は行いました。

衝突の瞬間、ハッチバックのガラスは粉々になり、車内に落ちました。

まるでテレビで良く目にする「衝撃の瞬間」です。

しかし、この時は「うわー」と言っている余裕はありません。

自分が当事者なのだから。

凄まじいGを受け止めたのは、左肩です。

横向きの態勢、シートに左肩がめり込みました。

あわや、脱臼骨折しようかというほどの「G」がかかりました。

しかし、幸いな事に、人一倍頑丈な私の体は、何とか耐えてくれました。

止まらない後続車の発見から、追突され飛ばされ停止するまで、ほんの5、6秒の間の出来事でしょう。

普段の習慣、とっさの判断と行動、これが「生死を分かつもの」だったと思います。

もし、いつもの習慣を行わなかった場合の事を考えてみましょう。

私は身長183㎝、80㎏。

コンパクトカーに乗るには少々大き過ぎる体つきです。

ヘッドレストも最長に伸ばしているものの、まだ高さが若干足りません。

この追突の場合、加害者が居眠り運転なので、急ブレーキの音が聞こえるわけでもなく、被害者は追突されるまで気がつくことは稀でしょう。

推定時速60㎞の4t車が追突してきたら、最初に頭部が激しく後方にもって行かれます。

ヘッドレストのカバー部分が衝撃に耐えられなければ、その支えである金属部分が、首、後頭部に突き刺さります。

この場合は、残念ながら、「一巻の終わり」です。

私の車のヘッドレストは、かなり華奢にできているのを知っています。

私の場合、不意打ちの追突であれば、「一巻の終わり」コースだったでしょう。
もし、ヘッドレストが衝撃に耐えたとしても、追突の衝撃でハンドルを切ってしまい、車が予期せぬ方向に行って、大惨事という可能性もあります。

ハンドルから手を離し、振り向いた状態で防御態勢をとったのは、どうやら正解だったようです。

………………………………………
何故、これほど迄に後方の危険に対して注意を払うのかについては、また後で…
結果を先に言えば、身体は殆ど無傷に近い状態でした。

しかし、身体本体はノーダメージに近いものの、脳髄液に半ば浮かんでいる脳は、そうは行きません。

車を停止させて外へ出て行こうとする私を、脳が制止します。

追突の衝撃で脳震とうを起こしていました。

プルプルと脳が小刻みに震えていました。
身体の自由がききません。

車内のデジタル時計を凝視し、待つこと3分。

やっと、脳のプルプルが収まり、脇道へ車を移動させることが出来ました。

派手な追突ショーから3分間、沢山の信号待ちの車は、私の車が再び動きだすまで静まり返って待っていました。

一方の追突した側のトラックの運転手は、交差点の中程にいて、私のことを不思議そうな表情で見ていました。

そうです、この時点では運転手は、自分が追突事故の加害者であることを認識していなかったようです。

逃げられたら困るので、運転手を手招きして呼びました。

車から降りて、自分の車のバンパーの左側が車に食い込んでいるのを見て、初めて追突した事に気付いたようでした。

長野から青森まで、産業廃棄物を高速道路を使わずに運搬する途中だったそうです。

車は4t、産廃専用車でした。

高速道路を使わないと言うこと、長野から青森まで捨てに行くことを考えると、どれだけ過積載していたのか、道理で遠くまで吹き飛ばされるはずです。


ケガをしなかった理由については、また明日……
「間一髪」の事態、それは平成19年12月、暮れも押し詰まった頃に突然起こりました。

国道50号線を東に向かう、車で走行中の出来事でした。

上武国道(国道17号バイパス)と立体交差する交差点で、赤信号の為、先頭で停止していた時のことです。

後方から黒っぽいトラックが、ブレーキもかけずに私の車に追突してきました。

追突された私の車は、ブレーキを踏んでいるのにもかかわらず、路面の上を、まるで「ダルマ落とし」の叩かれた駒のような状態で、上空にある上武国道の下を横断する形でくぐり抜け、15㍍ほど進んだ所でようやくタイヤが路面を掴み始め、追突された場所から20㍍強の交差点内でやっと停止しました。

真っ直ぐに飛ばされたので、上武国道の橋脚部分のコンクリート壁や、飛び飛びで設置されているガードレールに突っ込む事態は回避できました。

さあ、私はどうなってしまったのでしょう…


………続く