僕には

自分の居場所さえなかった



職場にも

家庭にも



心の安定が欲しかった





そんな時

本音を言える数少ない友達の

泰史に久しぶりに会うことになった



会うのは

あの忘年会以来だから

実に2年ぶりになる





二人で飲むのは

多分5年ぶりぐらいかも知れない






めっちゃ久しぶりやな

美貴は元気か?

仲良くやってるんか?






元気にしてるわ

仲めっちゃええで!

喧嘩した事ないわ






それは良かったー






お前はあれからどうなん?






あれからって?






とぼけんでええやん

亜子と消えたやろ

忘年会の二次会ぶっちして





ああ

そんな事もあったなぁ





そんな事って

まさか何もなかったってこと?





ないない

あるわけないやん


俺が聞いて欲しいのは

そんな話ちゃうねん


会社の話やねん






どうした?

なんかあったんか?






僕は

倒産から始まった

会社での状況を

事細かに説明した





それはヤバい

っていうか

お前の会社って

確か親父さんが重役やったよな?





そうやねん

多分次社長になると思う






それやな

原因は


そのあとはお前が後継者


要するに跡継ぎに対する

やっかみやろ


気に入らんねん


そういう奴は

どんな会社でも居る


何を言われても

無視するか


嫌がらせに耐え切ったら

多分諦めるわ


一人ではなんも出来ひん

奴らばっかりやと思う


お前は出来ることは

自分に与えられたことを

最後までやり切る事


それだけやってたら大丈夫

見てる人はちゃんと見てるから







有り難かった


こんなにも的確にアドバイスを

貰えるとは


やっぱり泰文は

親友だと改めて実感した






あ、それとな

美貴から聞いたんやけど


亜子、子供連れて家出たらしいで



  



えっ!?





お前には言っとくべきやと思ってな


連絡とった方がいい







何で今更!?






今も好きなんやろ

その事は言った方がいい


特に今みたいな辛い時は 

お前を分かってくれる相手が

必要やろ


お前も亜子のこと

一番分かってるやん







僕はもうこれ以上

過去に縛られたくなかった


だから

絶対に連絡はしないでおこうと

強く心に誓った







その筈だったのに. . . . .