僕は亜子の誘惑から
踏みとどまり
また元の日常の生活に戻った
未熟児で産まれた長女も
5歳になり
元気に育ってくれていた
その年の
8月には次女も産まれた
ただ4月に
当時勤めていた会社が
民事再生法を申請して
事実上の倒産をしてしまった
分譲マンションの購入を
決めたばかりの時期の
この仕打ちは
正直かなりしんどかった
名前をそのまま残して
新しい会社として
心機一転リスタートしたが
当時の人間関係は
かなり最悪で
気の合った人たちは
みんな希望退職という形で
リストラされてしまった
残った人間は
一癖も二癖もあるような奴ばかり
僕はその中で
所長的な役割を任された
しかし
従わない人間というのは
どこにでも居る
その人間たちは
なぜか会社によって
残ることになったパートのおばはん
(こいつは前所長の愛人)
と結託して
僕をハブり出した
僕が事務所に入った瞬間
会話をやめたり
所長の僕を差し置いて
1日のスケジュールを勝手に決めたり
最初に回すべき受注伝票を
飛び越して現場に渡したり
有休休暇届をおばはんに
直接出したり
とにかくまるで
一概のパートのババァが
所長のような役割を担う事態になった
そんな毎日が
ひと月、
いや3ヶ月は続いた
さすがに心身共に
不調をきたし
出社拒否になりそうだった
当時僕は
1年に一回ぐらいしか
有休も取っていなかったので
たまにはいいかと思い
その日はいつもの時間に
起きる事なく布団の中に居た
すると嫁が僕を起こしに来た
もう6時やで!
早よ起きや!
(当時は毎日5時起きだった)
いや、しんどいから
今日は休むわ
何いうてんの?
〇〇(長女)も見てるんやで
ズル休みとかあり得へん
ズル休みちゃう
会社で色々あって
俺も限界やねん
みんな我慢して
仕事してるねん
早起きてさっさと行って来て!
これからもっとお金かかるんやから
鬼かと思った
会社でもしんどい思いをして
家でもこの扱いとは
思えばこの頃から
僕の心の病は始まったのかも知れない
そして鬼嫁が
遂にその本性を発揮し出した