下の娘が小学四年になった頃
妻は頻繁に無断外泊をするようになった
どこに居るのか
何をしているのかさえ分からない
最初の頃こそ心配していたが
段々とそんな気持ちも薄れていった
僕が仕事から帰ると
一応食事の用意はしてあったが
段々とその量も減り
最後には小さな魚の切り身のみになった
僕は怒りというよりも
虚しくなった
何のためにこの家にお金を入れているのか
何のために働いているのか
何のために結婚したのか
仕事に行く時間はかなり早いし
帰る時間も遅いので
妻と顔を合わすことは殆どなかった
たまに会う事はあったが
もう帰ってきたのかよという顔で見られ
酒を持って子供部屋に入っていった
もうその時は泥酔状態だ
僕が自分のために用意してあった
インスタントラーメンを勝手に食べ
それに対して怒っても
また買ってきたらいいやん！と
逆ギレになる始末
その頃になると
食事は自分で用意する事が日常だったので
当然お金も立て替えていた
買ったレシートは
月末にはすごい量になっていた
しかしその分のお金が
返ってくることは最後までなかった
話が前後するが
結婚した当時
夏冬のボーナスは支給された
金額の1割を貰っていた
ところが子供が産まれた瞬間に
それも無くなった
少しぐらいくれてもいいやろって
言っても
貯めんとあかんやろの一言のみ
将来子供にいくらかかると思ってるん？
我慢したらいいだけの話やろ
僕が不満を唱える度に
妻は真っ向からその不満を断ち切った
お金は残しておくもの
使うものではない
それが妻の口癖だった
靴下に穴が開いても
シャツの襟首の汚れが目立って来ても
靴がくたびれて来ても
新しいスーツが欲しいと言っても
そんなお金はない
口を開けばその言葉のみ
もうこれからは
欲しいものも買えないんだ
そんな風に諦めていたある日
僕は衝撃的な出来事に遭遇した
その時は
さすがに怒りに震えるしかなかった
