家族性大腸ポリポーシス





診断が確定してから

3ヶ月に1度の大腸内視鏡検査を行った




その結果


大きくなるポリープが少なくなり


内視鏡検査を3ヶ月後〜4ヶ月後


と、なっていったある日











「しばらくCT撮ってないから撮りましょう」









と話があり







「 来週にする 」






速答










何の疑いもなく
何も考えず
久しぶりにやるかな






軽い気持ちのまま検査へ

 









《 CT検査当日    2013年3月28日 》










無事に検査が終わり検査後も
具合いが悪くなることもなく帰宅










そして10日が過ぎたある日











【 病院から電話がきた 】











着信を見た瞬間

電話を触る手が震えた










「大切なお話があります、病院に来て下さい」










ただ一言





「はい」





それしか言えなかった









こういうシーンをドラマで観たことがある

今は私が、そのドラマの“シーン”に

出ているようだった









電話を切ってから

だんだん思考が再開してきた






胸騒ぎ






恐怖と不安の胸騒ぎしかしない








頭の片隅にチラッと過る 





“まさか”

 



その “まさか”


◯◯○○○


という言葉が


当てはまってほしくない









まさか、、、ね









いや、間違いない

やっぱり、なにかがあったんだ








《 デスモイド 》








頭の中を駆け巡る










数日後、病院へ行った








ーーー 予想的中 ーーー










デスモイド腫瘍/CT画像
(診断/腸間膜原発の類腱腫)





画像を見て言葉を失った





( 正面 )















「デスモイド腫瘍が出来てます
   これは絶対に、とらなくてはいけない

   大学病院を紹介するから
手術する事になるからね」










うそ………
 デスモイド…!?
デスモイドが出来たの?



 なんで?
 なんでなの??



  次から次へと、、、
どうして…


  私が何をしたっていうのさ?









2009年8月の時には
デスモイド腫瘍はなかったのに












(いつの間に…)











4年前







家族性大腸ポリポーシスと診断された
あの日と同じ病院、同じ場所で言われた









(一気に4年前に戻った)










放心状態

 








目の前が真っ暗になって

耳も遠くなって

あとの言葉は

もう何も聞こえなかった










  目の前で起きていることが
全くわからない



    今自分がどこにいて
何をしているのか
      









泣かない、泣かない、、泣かない、、、










どうして??



なんで??



なんでなの??



何か悪い事した??










デスモイド…
こんなに大きい
もうだめだ










お父さんと同じ
同じだよ











《 現実逃避 》











現実……現実なのに

 夢を見ているのか?

もうよくわからない










受け止めれても受け入れられない










そして

やっと出た言葉








先生どうしよう

  どうしよう

  もう死んじゃうの?    
  どれくらい生きれる?

     あと何年、生きられるの?





     デスモイド大きいじゃん
 無理だよ無理だよ
あんなのとれないよ










先生は4年前と同じだった











「今、発見出来て よかった
    大丈夫だから、死なないから
    早く悪い所を、とろう」











先生の病院に通って4年





先生、看護師さん、事務さん
みんな知ってる





今日は、みんな
何ともいえない表情をしてるよ








先生は



「僕がキラキラちゃんの大腸を責任持って
    診察して悪くなる前にポリープとるからね

    いずれ大腸を全部摘出する日がくるけど
    その日まで僕が
キラキラちゃんの大腸を守るからね

    だから安心して

 一緒に頑張ろう」










号泣した


ヒクヒク止まらないくらい泣いた


先生の言葉が嬉しかった






怖いけど、これから怖いけど







だけど嬉しかった










(ありがとう、先生)










先生は大腸専門医だから
私は先生に絶大な信頼がある









(その日は一睡もできず、ずっと泣いた)










2013年4月16日大学病院









紹介状にあった医師
入院後の担当医

CT画像を見ながら
現実逃避したくても
現実逃避できない
私を追い込む話が始まった







このデスモイドの大きさは8㎝×6㎝×7㎝
    摘出するには腹腔鏡手術で摘出するけど
取り出す時に多少メスが入ります

    もしくは開腹手術
開腹の場合は20㎝傷が残る





(そんなに大きいの?このデスモイド
  全然わからなかった、出来ていたなんて)







【 先生達は更に私を追い込む 】







大腸全部とらなくていいの?
全摘した方がいいと思うよ

いずれは癌になる

    デスモイド腫瘍ができているし
FAP患者は確率が高いと
統計が出ています

    今回の手術で一気にとった方が
楽だと思うけど








(教授で偉い先生みたいだけど
いきなりそんなこと言われても
頭も心も気持ちも追いついていけない)





癌、、、私、癌になる?

  大腸とるの?
 全部とるの?


 やだ

やだ


  どうしよう
本当にどうしよう










ただね…

大腸全部摘出したとしても
私の遺伝子細胞は変わらないんだよね








確かに大腸を全部摘出すれば
数ヶ月に1回の内視鏡検査は
やらなくて済むし大腸癌の確率は
少なくなるかもしれない








けど細胞は手術できないから
同じ結果だよね







大腸を全部摘出すると、どうなるか

自分の父を見てるから、わかるけど








1990年代の当時の父の場合





私の父は大腸を全部摘出した後に
小腸に限界が来て小腸に穴が開いた




 

何度も何度も

何度も何度も

腸閉塞になり救急車で運ばれた






止まることなくデスモイド腫瘍が出来て

早いスピードで成長をしていき

大腸部分から中心に
デスモイド腫瘍が増大

最後には大きな大きな

最強なデスモイド腫瘍となった






石のような岩のような固いもの






切除した父のデスモイド腫瘍を見た


手術直後のデスモイド腫瘍が
半透明のタッパーに入っていた


木の細い根っこのようなものが
たくさん絡みついてるような


液体と血液が混じった中に浮いていた


 人間の体の中に、こんなに
 大きなモノができるなんて


 幼ながらに恐怖で震えた






父の体内にデスモイド腫瘍が
住み着いていた



厄介だったのは小腸と腎臓の上に
デスモイド腫瘍があって
臓器に、こびりついているから取れない





デスモイド腫瘍が腎臓を押し潰し
そこを中心に成長を遂げたデスモイド腫瘍は
父の胃から下の全臓器を全て潰した









けどね、やっぱり取りたくない







いずれは

いずれは

そうなるかもしれない







いらない臓器なんてないんだ






 
     

だけど、まだ決心はつかない










そして明日から入院



手術は25(木)の午後だ