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ロシマヤンのブログ

心理学の知識を元に、人間の生き方や社会のあり方について

自分なりにいろいろ考えていきたいと思っています。

感想など、コメントいただけると幸いです。

社会心理学のレポートのネタです。


実験研究とフィールド研究の違い

フィールド研究の意義

具体的な事例


上記3点をはっきりさせようと意識しました。

そういうわけでブログを一読の上、コメントをいただけると幸いです。


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 現象が生じる場を研究室という環境に限定し、現象を引き起こす従属変数と実験結果として起こる現象の因果関係をはっきりと、また量的なデータに従って観察、再現できる実験研究とくらべ、フィールド研究では科学的普遍性は劣るものの、現実の社会問題を分析する大切な手法の一つである。実験研究では臨床心理学を学ぶ我々にとって最も意味のある患者一人一人の苦しみが、単なる数値データでしかなくなってしまうからだ。

 患者が抱える主観的な内的世界と、客観的な現実世界との行き来ができなければ心理臨床は成り立たない。その意味で社会心理学のフィールド研究がもたらすイーミックな視点とエティックな視点の両方からなる単なる量的データ以上の意味をもった事例研究は非常に興味深い。

 家族療法家であるホフマンの60年代の報告に、セラピストが問題を抱える一家と、一家を取り巻く地域に出向き支援にあたった事例がある(リン・ホフマン 『家族療法学』 2005 金剛出版)。

 セラピスト自ら20年来の引きこもりのクライアントを訪ね、クライアントがその空間で見出している主観的意味(イーミックなもの)を理解し、社会的に必要とされる施策(エティックなもの)をどう導入するか工夫し、倒壊の危険のある建物から転居させることに成功した事例である。

 上記事例において、母親の死後、引きこもりに陥っていたクライアントが、ユダヤ教の喪に服する儀式に従い、鏡を布で覆ったままになっていたことに気づき、新居にて新しく姿見を用意したところ新生活への適応が進んだという事実はとても示唆的である。傍から見ればばかげてはいるが、20年間クライアントが喪に服していることに気づいたからこそ、そこから抜け出す手助けができたのだろう。

 クライアントの生活空間における内的な視点を尊重し、なおかつそこへ客観的に必要な援助を施すことに成功したという意味で、この事例のエッセンスは社会心理学の二つの視点からなるフィールド研究と性質を同じくするものと言える。

 一般にセラピールームの中でクライアントを信じて待つ一方の心理臨床であるが、内と外の視点の融合というフィールド研究の発想はきわめて重要である。なぜならセラピールームにおいて、話し合うことでクライアントの自己理解(内的世界)を深め生活環境(外的世界)へ適応する援助をすることは、それ自体イーミックな視点とエティックな視点の融合という意味合いを持っているからである。しかも児童虐待や孤独死の問題など、地域援助の必要性が高まる昨今の日本社会において、実際にフィールドに赴き人々がその場で感じている主観的世界の意味を理解しようとするフィールド研究の発想は一層の重要性を持つ。

 このように社会心理学のフィールド研究の「視点」は、臨床心理学上きわめて有効なものである。


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以上、ろしまやん作成のレポート原案です。

みなさま、コメントのほどをよろしくお願いします。