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ロシマヤンのブログ

心理学の知識を元に、人間の生き方や社会のあり方について

自分なりにいろいろ考えていきたいと思っています。

感想など、コメントいただけると幸いです。

鳴海とエレオノールの出会い

九死に一生を得た勝は助けてくれた金髪の女性が誰かよくわからずたちすくみながら「しろがね…さんなの……」と問うと、しろがねは勝に駆け寄り抱きしめて安心しつつもどこか泣きそうな表情でこう述べるのです。

 

ああ…よかった・・やっとお会いできた。

 

この一言は勝としろがねを結びつける大切な物語の布石なのですが、それがわかるのはもっとお話が進んでから。

 

しろがねこと本名エレオノールは自分の母は勝の祖父正二がフランスに滞在したときに幼い勝の乳母をしていたことや、正二からアルルカンを使って人形繰りを教わり、もし勝が危険な目にあったとときはこれで守ってやってほしいと頼まれていたことを伝えます。

 

電車の外に放り出されていた鳴海も駆け寄ってきます。彼は着ぐるみこそズタボロになってしまいましたが、大きなけがをすることもなく、勝がエレオノールによって助け出されるところを目撃していたのです。

 

ここから鳴海とエレオノールの最低な出会いが始まります。

 

鳴海が生きていたことに驚き喜ぶ勝ですが、大柄で人相の悪い鳴海をみたエレオノールはアルルカンを鳴海の前に割り込ませ一体何者かと警戒心をあらわにします。一方鳴海はいきなり現れた金髪の外国人、しかも勝を襲ってきた人形と同じような人形をつかって戦ったエレオノールを当然見方だとは思いません。エレオノールから正二の話を聞いても、もし勝を守ろうとしていたならなぜ勝が逃げ出してきたときにそばにいなかったのか、マサルはついさっきまで一人でいたんだと詰問します。

 

本編の後半でちゃんと分かるのですが、この時エレオノールには言うに言えない事情がありました。エレオノールだって勝を守りたかったはずなのですが、それができずにいたことを鳴海は強烈に指摘してしまったのです。

 

「私は……私は……言うなァ」

 

エレオノールはアルルカンを鳴海にむけてとびかからせ、鳴海はアルルカンをかわして交わしエレオノールに迫ります。そして二人を止めようと飛び込んだため鳴海とアルルカンの一撃をくらって勝は吹き飛ばされて気を失ってしまうのでした。

勝を病院へ

自分たちのせいでけがをして失神してしまった勝を抱きかかえ、エレオノールは狼狽しまるで自分のことのように苦しそうにしています。

 

その様子を見て鳴海はエレオノールが勝の敵ではないことを理解し、列車の脱線事故で警察や救急隊が来ているので助けを呼びに行こうとしますが、冷静になったエレオノールが鳴海の手助けを断り、これは自分たちの問題だからと勝を安全な医者のもとに連れて行こうとします。

 

ゾハナ病のため常にだれかを笑わせていないといけない鳴海はひとまずは勝をエレオノールに任せて、二人が立ち去るのを見届けるのですがどうにもすっきりしません。

 

列車の事故でけがを負い泣きじゃくる女の子を見かけて、ピエロのようにおかしな顔で笑いかけますが女の子は泣き止まずに病院へ搬送されていきました。

 

ここで鳴海は自分自身に問うのです。犯人たちは勝一人を狙うためにこんな小さい子まで巻き込んで大事故を引き起こしました。そんな大変な事態を把握しておきながら自分はだれかを笑わせていられるのだろうか、そして何よりこんなことが続ければだれも笑ってくれなくなってしまうと。

 

そして鳴海はエレオノールと勝を追いかけました。一度読み終えた今だからこそ思うのですがこの時、もうすでに物語における鳴海の役割がきちんと確立されていたんですね。

 

方々をはしりまわってようやく鳴海が二人を見つけた時、日曜日でどこの病院も閉まっており、救急病院に行こうとするもサーカスの衣装のままでアルルカンの入った大きなスーツケースと意識のない勝を抱えるエレオノールにはタクシーが止まってくれわけもなく、傘もなくとぼとぼと歩くエレオノールは寂しくつらそうにしていました。

 

家の近くに知り合いの診療所があるからそこへ行こうと鳴海が申し出てスーツケースを持ってあげようとするのですがエレオノールはキッとした表情で鳴海の申し出を断ります。

 

エレオノールの生い立ちや過去について、この漫画では全体が詳細に描かれているわけではなく、中盤以降にほかの登場人物たちの回想のなかで分かってくるのですが、人形使いとしてひたすらに人形たちとの戦いに明け暮れる日々を過ごしてきたエレオノールは、この物語の悪の親玉のせいもあって、他人に心を開けなくなっていたのです。

 

そんなエレオノールに鳴海は自分たちのせいでこうなってしまった勝のことを考えろと怒鳴りつけます。勝の祖父正二や中盤以降に登場するエレオノールの先生であるギィ以外に、他人の助けを借りることはとても難しいことだったのでしょうけれど、鳴海の正論に反論の余地はありません。勝をまもってやれず、今にも泣きだしそうな情けない表情をみせエレオノールは鳴海に従うのでした。

 

病院には亡くなった鳴海のおじいさんと知り合いだった先生がいて勝の手当てをしてもらいます。一通り診察が終わって穏やかに眠る勝の顔を見て鳴海は優しい表情を浮かべます。

 

この時エレオノールは冷たい表情のまま鳴海になぜ関係ない自分たちを追ってきたのだと質問しますが、何のためでもなく、ただ自分のためにやっただけだと勝に毛布を掛けてやりながら鳴海は応じます。

 

そして二人のやり取りは続きますが窓の外に新しい人形が現れました。そう、この物語の名わき役・阿柴花さんの登場です。

 

エレオノールは応戦体制をとりつつ、鳴海の「理由」は自分にとっても納得ができると伝えます。エレオノールは自分のため何としてでも勝を守り通さねばならないのでした。それは自分自身の存在証明を勝ち取ろうとする、この物語のとても深いテーマなのです。

 

もちろんこの二人は当分すれ違い反目しあうですけどね