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ロシマヤンのブログ

心理学の知識を元に、人間の生き方や社会のあり方について

自分なりにいろいろ考えていきたいと思っています。

感想など、コメントいただけると幸いです。

勝と鳴海の出会い

 

誘拐犯から逃げるため大きなスーツケースを抱えて家を飛び出した才賀勝と、ゾハナ病のため呼吸困難に陥る加藤鳴海が出会うシーンです。

 

ゾハナ病は「他者の副交感神経系優位状態認識における生理機能影響症」という名前の呼吸困難から死に至る病気のことで、鳴海は中国で拳法の修行をしていたころに発症しています。

 

この病気は治療法がないのですが簡単に言うと周りにいる人が笑ってくれることで発作が収まるため、鳴海はサーカスのアルバイトでクマの着ぐるみを着て、子供たちにビラを配っているところでした。

 

そこにスーツケースを抱えた勝が現れて「サーカスに連れて行ってくれませんか…」とお願いされます。

 

発作のためクマの着ぐるみのなかで苦しみもがいている鳴海にとっては是が非でもだれかに笑ってもらわなければなりません。そこでこの漫画のナレーションが吹き出しにこう表示されます。

 

「無視する」

「話をする」

 

この吹き出しのナレーションが実はこの物語の素晴らしいエンディングへの布石となっているのですが、それは最後まで読んでのお楽しみです。

 

着ぐるみの中の人が呼吸困難のため苦しみながら必死に周りの人を笑わせようとしているため、クマがおかしな挙動をとるのにつられて勝は笑ってしまいます。

 

そしてこの微笑が物語の大切なカギとなっているのでした。もちろんこれは最後まで読んだ人だけの秘密ですね。

 

鳴海と勝は一体これからどうなるのでしょうか。

お楽しみです。

勝の誘拐

 

勝のおかげでゾハナ病の発作がおさまり、お礼に鳴海は「話をする」を選択します。しかしそこに黒ずくめの3人組が現れ勝を連れ去ろうとするのです。家出した子を連れ戻そうとしているのか、誘拐事件なのか迷いつつ、間違えていたら後で謝ると割り切って拳法の達人である鳴海は勝を助けに入りました。

 

たとえ3人組でもすででは鳴海にかないっこない、とはいきません。鳴海に殴り飛ばされた一人は首が一回転し、さらに肩を外された一人は関節がくるりと回って元に戻ってしまいます。

 

まわりの見物人にはサーカスのアトラクションの宣伝だと勘違いされてしまう中、わけがわからず勝とスーツケースを抱えて鳴海はその場を逃げ出し電車に乗り込むのです。

 

そこで勝が個人資産だけでも180億円にもなる、大企業サイガグルームの社長の息子であり、人形のようなものが車にからみついたせいで交通事故により父親が不審死していたこと、その後怪しい人物が周囲にあらわれ祖父の言いつけに従って家から大きなスーツケースをもって逃げ出してきたことを鳴海は知ります。

 

この祖父と勝のやり取りが物語のカギでもあるのですが、勝はこう言い聞かされていました。

 

もしも勝が大人になる前に父さんがいなくなって…何か変なことがあったら…このかばんを持ってすぐお逃げ。しろがねが、お前を守ってくれるだろう。

 

鳴海は資産家の息子をめぐり遺産のトラブルだとすぐに気が付き警察に駆け込もうと決めるのですが、さきほどの黒ずくめの男の一人が電車に乗り込んできました。そして人間離れしたパワーで鳴海を圧倒し、さらにもう一人の仲間が線路上に立ちふさがり列車と衝突するのです。引き裂かれ黒ずくめの男は実は機械仕掛けの人形で、ばらばらになった手足やワイヤーが車輪に絡みつき列車は脱線、鳴海のアルバイト先であるサーカス団のテントに突っ込みます。

 
列車内ではこんなことになってしまい、自分一人が死ねばよかったのにと列車内では泣きべそをかく勝に、人形と向き合った鳴海は後ろ向きのまま勝のほほを張りこう一括します。
 

あきらめるな!おまえはまちがっちゃねえんだよ。

きつい時には「助けて」とどなれ!腹が立ったら悪態をついてやれ!!

おとなしくかっこつけてあきらめんな、あがいてあがいてダメだったらそん時ゃ……にっこり、笑うしかねえけどよ。

 

覚悟を決めてふっきれたのか、なるみは勝に笑みを浮かべ人形に突進、列車の脱線する反動に合わせて自分ごと相手を列車の外に投げとばしなんとか打ち倒すのでした。

しろがね

脱線した列車からおりて鳴海をさがす勝ですが、3人組の人形の最後の一体が勝に迫ります。鳴海はもうおらず、どこの誰かもわからないしろがねに助けてもらおうとしても所詮無駄だとあきらめかける刹那、彼の脳裏に『あきらめるな』と鳴海の言葉よぎるのです。

 

人形が機械仕掛けの腕を伸ばし後ろから勝に襲い掛かるその瞬間「しろがねーっ。」

と叫びつつ足元にがれきを人形にたたきつけ駆け出す勝、その時本作のヒロイン・しろがねが現れました。

 

水玉のサーカス衣装をまとい、綱渡り用のロープからくるりと飛び降り、勝のスーツケースを手に取ったしろがねが指先にワイヤーを手繰ると戦士の人形が現れ右手に持つ人形の腕で敵の人形を一撃で粉砕します。

 

このスーツケースからあらわれたしろがねの操る人形こそがアルルカンです。アルルカンの左腕は乱暴にもがれていて、それを右手に持ち闘い勝を守ったのでした。ここに列車から飛び降りて負傷した鳴海も勝のもとに現れ驚愕の事態を目の当たりにし、こうつぶやくのです。

 

おれはとんでもない運命への選択をしてしまったのかもしれない…どこかで…

 

そして物語のナレーションが告げられました。

「開幕のベルが静かに鳴っていた…」

 

第1幕の閉幕の閉幕です。