■ バスカヴィル館の殺人

■作:高野結史


深い森の奥に佇む洋館『バスカヴィル館』に招待された6人の名探偵たち。

やがて館の主人にして招待主である数数屋から知らされたのは魔犬にまつわる不可解な謎でーー

それは「探偵」のために用意された殺人劇。

そしてその劇は、思いもかけない展開を見せることになる。



奇岩館の殺陣から続く、2作目の「探偵遊戯」の開幕。

探偵が謎解きを楽しむ舞台の上と、その裏で運営側が奔走する舞台裏の二層構造が魅力の本作は、前作を超えて物語が迷走する。

前作から引き続き登場する人物もいて、より複雑さを増しているのもたまりません。


クライアントのため、リハーサルも繰り返し、ミスは許されない緊迫した状況でシナリオは進行する。

けれど、そのシナリオにはイレギュラーが頻発し続ける。

破綻の危機に晒されながら、いったい何がどうしてこんなことが起きてしまったのか。

リアルタイムで修正を求められるというこのスリルがまさに醍醐味で。


ただし、「探偵遊戯」というある種飛び道具のネタで続編となると、少なからず既視感が邪魔をしてしまうはず。

なのに、焼き増しではない、けれど2作目であることに意義が生まれるものとなってるわけです。

その手腕に惚れ惚れしちゃうのも当然かと!


いっそステレオタイプと言いたくなるほど嫌なやつは相変わらずじんわりと嫌なやつなのですが、その存在が読後感を悪くすることがないのもありがたいです。


個人的に、運営の中間管理職スタッフ氏がお気に入りだったりもします。

現場と上層部の板挟みとか、仕事への矜持と揺らぎとか、ふと垣間見える人間味とか、彼の持つ温度が物語において重要だなと思うほどに。

殺人を遊戯と捉え、娯楽として消費する世界観において、読み手との距離感とバランスを担ってくれてるという印象なのです。


違和感を抱くシーンも、何も引っかからずにスルーしたシーンも、ラストに向けて伏線回収されて行った時のカタルシスも味わい深く。


1作目の読了後にこの続編を読みたいと望み、そして手にした2作目が期待を裏切らない!

良い読書体験となりました。