この歳になっても幼い頃の記憶は鮮明にあるもので、結婚するまでの二十数年間、両親、弟、祖母と共に暮らした日々は楽しい思い出ばかりが残っている。

 

太平洋戦争、高度成長、オイルショック、怒涛の昭和期を生きた父と母、すでに他界した両親を想う時、裕福ではなくとも健康に育ててもらい、たくさんの楽しい記憶を残してもらえたことに感謝の気持ちでいっぱいになる。

 

親はいつまでもいてくれるものと思っていたのに、永遠の別れをして初めてよりどころを失ったことに気づき、寂しさと共にある種の罪悪感に苛まれ、そのあとに大きな感謝という感情の波が押し寄せてきて心が満たされ穏やかになれる。

 

「孝行したい時に親はなし」ということわざを改めて実感し、父と母の娘に生まれたことを幸せだったと素直に感じることができる、私の第一章だ。