娘は大学入学以来家を出て一人暮らしをしているので、現在の家族構成は夫婦と愛犬である。

 

夫は平日は毎晩午前様の帰りで食事は必要ないため、私は実質一人暮らしのようなもので主婦としては楽をしているのであるが、週末だけは食事を共にしてきた。

 

無趣味な夫は在宅時ずっとテレビを観ている。

昨年、2階の自分の部屋にテレビを設置してからは食事の時だけ降りて来て、食べ終われば戻るという状態で、食卓につくとおもむろにリモコンでテレビをつけて自分の観る番組を選局し、「いただきます」も言わなければ「ごちそうさま」も言わずに出された食事をテレビを観ながら黙々と食べて、美味しいでもなければまずいでもない。

 

娘が幼い頃は、食事中はテレビを消して、目の前にいる娘と会話をするようにと何度も頼んだが実行したのは2回きり。

それもテレビがついていないというだけで、娘に話しかけることもなく、私が話題を振っても返事をするのみで会話に至らない。

そして食べ終わったら即テレビ。

 

娘にとって食事中の父親は、向かい合っている自分を見ることもなく、話しかけてくることもなく、ただただ目線の先にあるのはテレビだけ。

 

娘は家族団らんのある食卓に憧れたことだろう。

たまには家族で外食するシーンを想像したことだろう。

食事をしながら学校での様子や日々の会話をしている家族の光景を連想したことだろう。

独身時代、家族そろっての賑やかで楽しい食事時間を過ごしてきた私には娘が不憫でならなかった。

 

最近は食事を作る楽しみもなくなった。

食事を作る張り合いは、美味しいと言って食べてくれる人がいることだとつくづく思う。

お惣菜やテイクアウトも多くなり、数か月前から夫とは時間をずらして別々に食事をするようになった。

 

夫婦で買い物に出かけたり愛犬の散歩をしたことはまったくなく、夫は休日単独で出かけ、どこへ行くのか確認すると、いつも決まって返って来る言葉は「仕事」。

私服でいったいどこに何の仕事に行くのかと疑問だが、結婚以来ずっとである。

調べるすべもないし、今更問いただす気もなくなった。

 

まさに家庭内別居である。