義母は85歳。
スープの冷めない距離の同じ町内で一人暮らしをしている。
ギャンブル依存症の義父のせいで60歳の定年まで社会に出て働いてきた。
結婚当初は「義母は苦労人だし、専業主婦だけしてきた人とは違って、考え方も行動もきっと尊敬できる人だろう」と思っていた。
ある意味ではそうなのであるが、付き合いが長くなるにつれ、そうでもないことが垣間見えて「な~んだ」と感じることも多かった。
その最たるものが、なかなか子供を授かれなかった時期の私に、孫がほしくてたまらなかった義母が発した台詞、
「ダメじゃない、○○(夫)が不妊の原因なわけないんだから…、あなた病院へ行きなさいよ」
と何の根拠もなく平気で口にしたこと。
私にとっては忘れられない台詞である。
そんな義母、このところ痴呆の症状が顕著になってきた。
元来の家事嫌いで、掃除は義父の担当だったのであるが、その義父が亡くなってしまったので家の中が酷いことになっている。
トイレや浴室はどうしたらこうなるのかという状態で、とてもではないが私には使用することができない。
いつだったか、あまりの酷さにトイレと冷蔵庫の掃除をしてみたらそれぞれ3時間もかかってしまい、その挙句トイレは1週間後には元に戻っていた。
冷蔵庫内にカビが生えているのを私は初めて見た。
以来手伝うのは止めた。
座敷には書類、タオル、下着、雑貨などが積み上げられ、事務職を長年続けてきた人とはとても思えない有様になっている。
アルコールが大好きで、毎晩ビールを飲んでいる。
躁鬱病で自殺未遂をしてからは睡眠導入剤と精神安定剤が欠かせないので、本来は飲酒は控えるべきなのだが止められないようだ。
後ろめたさはあるようで、空き缶を私に見られないように隠している。
週に2日ヘルパーさんにお掃除と買い物の付き添いをお願いしているのだが、ヘルパーさんに不信感を抱いているらしく、お金を盗まれるからと財布を隠したものの隠した場所を忘れて大騒ぎをしたのが数か月前。
財布は押入れの客布団の間に隠してあるのを私が発見した。
そして今回は通帳、印鑑、キャッシュカード、クレジットカード、全て隠したことを忘れて各社サポートセンターに「紛失したのでストップしてほしい」と自ら電話をして届け出た。
なぜそうした電話はできるのか、番号はどこで調べているのか不思議なことこの上ない。
そして電話魔。
固定電話、携帯電話、どちらも留守電のメッセージが流れ始めるといったん切ってから1分おきにかけてくることが度々。
最も多い日には無言の留守電が20回以上録音されていた。
以来、外出先から帰宅して留守電ランプが点滅しているのを目にすると動悸が起こるようになってしまった。
最近は着信拒否にして3回以上履歴がついたら私からかけるようにしているのだが、正直げっそりしてしまう。
義母のことを気の毒にも感じているし、哀れにも思うのであるが、どうしても優しくしてあげられない私である。