夫は私の一つ年上で、5年前に従業員数200人ほどの会社の社長に就任した。
家庭を顧みず必死に働いてきた結果であり、本人は成功者になれたことに納得していることだろう。
しかしながら、家庭崩壊して機能不全家族に陥っているこの現状をどのように思っているのか…
結婚34年にしてはっきり分かったことは、夫は幼少期に家族団らんを経験したことがないであろうこと、親からの何気ない言動に愛を感じてくすぐったくなるような、嬉しい感情の記憶がないであろうこと。
そのような経験や記憶があれば、人は自分の子供にも同じ喜びを与えたいと思うものだろう。
夫は一人っ子で両親が共働きだったため、俗に言う「鍵っ子」で育った。
父親が競馬のギャンブル依存症で、サラ金からも借金をするほどだったため母親は定年を迎えるまで働かなければならなかった。
母親は母親でそのストレスを趣味の世界で紛らわせ、元来が家事嫌いだったこともあって、お腹がすけば母親が何か作ってくれるという家庭ではなく、1000円渡されて行きつけの店で空腹を満たすのが日常的だったらしい。
娘が拒食症になって痩せ衰えた時、
「俺だって中学の時は痩せていた、食べれば治る病気なのに贅沢だ」
と言っていたことを思い出す。
要するに、夫自身が機能不全家族の環境で育ったアダルトチルドレンということだ。
交際していた時は「辛い思いを沢山してきたんだな」と理解し、だからこそ家庭を持ったらその辛い思いの分家族を大切にする人だろうと信じていたが、そんな考えは今となってはすべて私の人生経験のなさ、家族団らんのある家庭で成長した甘さだったと痛感している。
あれほど辛い時を経て娘を授かったのに、私の思い描いてきた家族の光景は一度も味わったことがなく、この先もあり得ないと思うと、自分で選んだ結婚なので後悔はないが、ただただ娘に申し訳なく、虚しい溜息が出るばかりである。
幼少期の辛い経験を反面教師にして幸せな家庭を築いている人も沢山いるのに、夫がそうでないのは何が原因なのだろう?
結婚相手が私だったからなのか…
と自分を責めていた時期もあった、少なからずあると思う。
けれど、これは世代間連鎖だとしか思えない。
娘の拒食症も世代間連鎖に起因しているように思えてならない。
簡単に断ち切れない負の連鎖に恐怖さえ感じる。