サンシャイン州のT空港まで
送ってきてくれた3人の子供達と、
太平洋という大海原を隔てる
別れの時間がきていた。
20歳になっている長女は号泣をしていたが
長男(15歳)と次女(10歳)は
まだ別離の現実味がないのだろう。
ただ静かに無言でいた。
私は泣くわけにはいかない。
彼らの最後の思い出である母親の顔は、
いつもの笑顔でいるんだ!絶対に。
ジョーダンばっか言って
ドジでマヌケている私を見ては
いつも子供達は大笑いをしていた。

認知症の私の母は
ずっと1人娘の帰りを
毎日祈るように、待ち続けていた。
祖国へ帰っていく私の姿は
第2の人生を
スーツケース1つで再スタートさせる
強き母親の姿でいよう。
泣くな!泣くな!

しかし、沈黙となって静まりかえった
この場の空気は
誰もが変える事はできなかった。
心臓の音と
秒針だけが聞こえてきそうだった。

いつ、次に逢えるのだろう。
誰もが心の中で自問している。

次に逢えた時には
長男も次女も、もっともっと
身長が伸びているだろう。
今の彼らの身長を忘れないために
子供達の温もりを忘れないために
1人1人を思いっきり、抱き締めた。
I love you。。。

搭乗時間がやってきた。
いつもの母親の笑顔で別れを告げて
搭乗ゲートに力強く歩いて行った。
背後で子供達の声が聞こえる。
I love you mom!!!

私は早足で、決して振り向かなかった。
大粒の涙が、ポロポロと
止まることなく頰を伝わり続ける。
それは、やがて
空港の数ある1つのドラマの中で
雫となって消えていくだろう。

さようなら、さようなら、
必ずまた、逢える日がくるから。
どうか母を忘れないで。
あなた達の幸せを
毎日、祈っているから。
何度も何度も、心の中でそう叫んで
歩いていく。

他には何も聞こえない。
空港のアナウンスも。
人々の行き交う靴音でさえも。

私の耳に聞こえてくるのは
涙があふれて、
こぼれ落ちていく音と
耳の奥にこだまし続ける
愛しい子供達の声だけだった。









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