図書館で借りた映画の感想を久しぶりに。
 
「BARに灯ともる頃」
 
原題 : Che ora e' ?
 
主演、マストロヤンニ、マッシモ・トロイージ。
 
この二人が共演というだけで、もう、名映画を約束されているような気がする。
 
実際、この二人、全編ほぼ出ずっぱり。
 
で、ずっと話してる。笑
 
チビタベッキアというローマ近郊の港町で兵役中の息子に
 
会いにきた父親との休日の1日を切り取った、それだけの話なのだが、
 
もう一つ一つのシーン、会話、全てが素晴らしいし、
 
ああ、こういう映画こそ観たかったものだ、と思った。
 
断っておくが、これは本当に個人的な感想であって、
 
イタリアに特に何の思い入れもない人には、どうってことのない映画なのかもしれない。
 
 
でも、バールでの何気ない会話や、
 
彼女の家での部屋の様子、彼女の仕草、
 
ちょこっと通りすがるエキストラの人たちの様子。
 
もう全てがもう懐かしくて。
 
マッシモ・トロイージは、詩人ネルーダと郵便配達員との交友を描いた映画
 
「イル・ポスティーノ」が遺作となり癌で夭逝した俳優。
 
マストロヤンニは、古いイタリア映画を語る上では
 
欠かせない名俳優。
 
彼らの会話は、息子の行末を案じ、ああだこうだと
 
気を揉み、余計な口を挟む父親と
 
それをちょっと鬱陶しく思う息子。
 
あらら、どこかの親子とそっくりじゃん。笑
 
もちろん、うちではこの映画みたいに
 
息子に家だの車だの買ってやったりはできないけど。
 
本当に個人的な感想なのだが、トロイージが
 
昔付き合っていたイタリア人の彼氏とよく似ていることに
 
気付いたり(笑)
 
トロイージの彼女の家の居心地のいい乱雑さが
 
フィレンツェのある女友達の家とそっくりだったり(笑)
 
エスプレッソにちょっぴり垂らすリキュールには
 
ハーブ入りを所望するちょっとしたこだわりとか、
 
ああ、何と懐かしいことだろう。
 
考えてみればチビタベッキアという町に行ったことがない。
 
でも、どんな感じなのか、観ているだけで
 
手に取るようにわかったし、
 
港町の、ちょっと魚くさい匂いまで
 
感じられるほどだった。
 
間違いなく、10年毎くらいに見返したくなる映画だ。
 
原題も、しゃれている。(今何時?という意)
 
監督は、名匠、エットーレ・スコラ。